ざあざあ。 ページ18
.
知念たちにも、花火大会を先生と行くことになった、と報告をすると、
一人には、
「.....へぇー...よかったじゃん...」
とジト目で見られ、
一人には、
「....山ちゃん、楽しんできてね！頑張って！あ、そうだ！あのね...(省略)」
とめちゃくちゃ応援された上に、めちゃくちゃアドバイスを貰った。
これほどまでに、こんなにも温度差がある返答はあっただろうかと思わず過去を振り返ってしまった。
でも、どちらにせよ最後には「頑張れ」と背中を押してくれて。
友達、っていいななんて柄にもなく思ってみたりした。
。
今日は、夏休み前最終日。
皆、浮き足立っている雰囲気がひしひしと伝わってくる。
そんな中、俺は違う意味でそわそわしていた。
先生との楽しい昼の時間も過ぎ去り、放課後となった今。
クラスの皆は我れ先にと続々と帰り、あっという間に教室には先生と俺の二人きり。
今にも震え出しそうな手と、落ち着かない心臓を少しでも楽にするため、鞄に荷物を詰める速度を落とす。
先生は、学級日誌の返答を書いているのだろう。
ボールペンを手に持ち、すらすらと紙面に走らせている。
ごく普通のことなのに、先生がその動作に加わるだけでこんなにもこの空間を非日常的にさせる。
ゆっくり。ボールペンを置く音がした。
「....山田くんは、帰らないの？」
気付かれないようにと、ついさっきまで先生の方を見ていたのに慌てて鞄に目線をうつした俺。
凛とした声に反応して、また先生の方を見る。
「...帰りの用意、終わってなくて...」
と、笑って見せた。
嘘だった。
いつもなら、三番目くらいに教室を出る俺。
先生も気づいているはずだ。
先生が立ち上がってこちらに向かってくる。
数秒後には、自分の肩が人の体温を感じていた。
ひんやりとした体温。
「....先生、手冷たいですね」
つまらないことを言ってみせたら、
「....心が温かい、ってことだよ」
と、先生もつまらないことを返してきた。
俺には、特別な言葉に感じたけれど、
知念たちはそう受け取りそうだと思ったので、つまらないことにしておいた。
同時に、肩から手が離れた。
「....ね、先生。」
緊張で手が冷たい。
俺も、心があったかいのかな。
「....どうした？」
「....先生、」
「....好きです。」
☂ 12周年おめでとうございます
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 89人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
konokuro(プロフ) - あひる☆さん» 1を最後まで読んで頂きありがとうございました^ - ^ 2も楽しみにしてくださいな！ (2020年3月15日 21時) (
レス) id: 8ceddc39fa (このIDを非表示/違反報告)
あひる☆(プロフ) - konokuroさん» 移行に行こう〜〜〜♪わーわー。。どきどきっ。。 (2020年3月15日 14時) (レス) id: 15b8e56e15 (このIDを非表示/違反報告)
konokuro(プロフ) - あひる☆さん» あひるん！！！コメントありがとうございます^ - ^ そんなこと言っていただけるなんて....！！ こちらも早め早めの投稿を心がけます！^ - ^ (2020年2月29日 1時) (レス) id: 8ceddc39fa (このIDを非表示/違反報告)
konokuro(プロフ) - うさこさん» こんばんは。今回もお待たせいたしました...m(_ _)m そう思っていただけて嬉しいです^ - ^ そうなんです！複雑な感情と天気雨をかけてみました笑 晴れなの？雨なの？どっちなんだい！笑 (2020年2月29日 1時) (レス) id: 8ceddc39fa (このIDを非表示/違反報告)
あひる☆(プロフ) - 複雑な心情を読ませていただきました〜〜♪はぁぁー・・よい！よいなぁ〜〜。ちねさんのきもちっ！！またまた楽しみにまっとりますぅ〜〜♪ (2020年2月28日 18時) (レス) id: f52dbdb7e8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：konokuro | 作成日時：2019年6月22日 23時
