【歌い手】求人募集の先には歌い手【まふまふ】

七本目 ページ9

「大丈夫ですよ！確かに恋愛感情的な好きですけど、別に今付き合ってほしいとか言っている訳ではないので！ちゃんと惚れさせるので！」

『いやちょっと待ってください状況が理解できない……』


ちゃんと惚れさせるって、そんなイケメンなセリフ言う人初めて見た。私は頬にキスされたのと、告白されたので恥ずかしくなり、手で顔を覆った。

未だ相川さんの腕の中にいる私は、ちらりと指の隙間から相川さんの顔を見る。絶世の美女ならぬ絶世のイケメンだ。

そんな事を考えている私を他所に、相川さんは私の手首を掴み、顔隠しちゃだめと引っ張ってきた。


「ゆっくり、Aさんのペースで良いので、僕の気持ちに答えてくれませんか？」


私の手を優しく握って、微笑んだ。私は恥ずかしくて目を反らす。


『ゆ、ゆっくりでいいなら……』


私がそう言うと、やったとまたハグされた。心臓がうるさい。私は控えめに相川さんの背中に手を回す。


「あ、そうだ！」


急に私の肩を持って引きはがす。その手は意外とガッチリしていて、改めて男の人なんだなと感じさせられた。


「今月末、僕が組んでいるユニットのライブがあるんですけど、カメラマンとして参加してくれませんか？」

『カメラ……行きます！』

「即答、ね。そんなにカメラ好きなんだ」

『もう一人の私と言っても過言ではありませんから』

「今日カメラいじってる姿見て、この人だ！って僕はピンと来ましたよ。そう言う所に惚れました！」

『ふふっ、ド直球ですね』


くすくす笑うと、相川さんは私の頬を、私よりも大きな手で包む。そして顔を耳元まで近づけてくると、


「僕が溺愛してあげますので、覚悟しといてくださいね」


そう囁いたのだ。

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