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うらたside
今日のまふ、何だったのだろう。仕事が思ったより早く終わったため、俺はまっすぐ家に帰る。
玄関のドアを開け、ただいまーと声を出す。いつもならAが笑顔で駆け寄ってきてくれるのだが、今日は来ない。部屋の電気は付いているからいるはずなのだが。
俺は不思議に思いながらも、部屋の中に入った。リビングのドアを開けると、ソファの上にクッションを抱いて丸くなって寝転がっているAの姿が。珍しい、こんな所で寝るなんて。
「A、こんな所で寝たら風邪ひ、く……ぞ」
俺は言葉を失った。寝ていると思ったAは起きていて、涙をポロポロと流していたのだ。
「っ、ど、どうした!?なんかあった!?」
『……うらたさん、私の事嫌いですか』
「え……?」
突拍子もないことを聞かれ、答えられずにいると、Aは更に続けた。
『私の事、飽きちゃったんですか……』
辛そうに話すAに耐えきれなくなった俺は、Aの体を起こし抱きついた。いつもなら抱き返してくれるが、今日は控えめに俺の服を握るだけだった。
「違う、飽きてなんかない」
『じゃあ朝、なんで早く出ていったのに仕事じゃなかったんですか。私と居るより、他の人と居たほうが楽しいですか』
「違うって……!」
ポロポロとAの目から溢れる涙と同じように、Aの口から不安が溢れてくる。違う事を分かってほしくて、ぎゅっとAを抱きしめる力を強くする。
『わ、私なんか、うらたさんの隣にいる資格、無いんじゃないかって……!いつも頼ってばかりだし、私も役に立ちたいと思っても、何も出来ないし、それに……! っ!』
俺はAの唇を少し荒く塞いだのだった。
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四つ葉 - 完結お疲れ様です!後からすみません。楽しく読ませて頂きました!他の作品も頑張って下さい!ヾ(≧∪≦*)ノ〃 (2020年4月20日 3時) (レス) id: e93bba0f4a (このIDを非表示/違反報告)
ゆうり - いえいえ!こちらこそなんかすみません! (2019年8月10日 18時) (レス) id: 616da87ebb (このIDを非表示/違反報告)
神谷朱里(プロフ) - すみませんww参考になりましたww (2019年8月9日 21時) (レス) id: 53f80ab33e (このIDを非表示/違反報告)
ゆうり - 忘れてたの!?確かに結婚した後みたいな雰囲気ありましたけどw (2019年8月8日 14時) (レス) id: 616da87ebb (このIDを非表示/違反報告)
神谷朱里(プロフ) - 名無し1450号さん» リクエストありがとうございます!書かせていただきます! (2019年8月7日 18時) (レス) id: 53f80ab33e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朱里 | 作成日時:2019年6月15日 14時