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お疲れさん紅茶 ページ45

「…う、うん!む………あ、源先…輩…………」


いつものように無惨さんと言いかけてしまったけど、
それを気にさせる暇もなく彼はわたしの手を引いてスタスタと歩き出した。


皆、騒然としている。

誤解もされてるかも………



『A!?ちょっとーー!?!?』


凛音の困惑混じりの声になんと返せばいいかわからなかったわたしは、後で連絡を入れよう…と思いつつ、心の中で頭をぺこぺこ下げた。


ーーー


帰宅。



「ただいま………」



わたしが玄関の段差にへたり込むと、無惨さんも鍵を閉めた後に扉にもたれかかるような形で二人同時にため息を零す。



無「…A、大丈夫だったか」


「いえ、わたしは……
無惨さんは大丈夫でした?」


ずっと人間社会に紛れ込んで社会人をやっている上現代で様々な手続きをさらっとこなしてしまう彼だから、何事も上手くやってのけるだろうけど…


無「私は何の問題も無いが…
今の時代の子供達は皆ああ言った具合なのか…??」


「ああいった具合、とは…」


無「…教室の連中が蝿のようにたかって来おった
男も女も…貞操観念など無いかのようにな…」


忌々しそうに低い声を震わせる無惨さん。

モテる男の悲しき定め、というやつだろう。



「……紅茶、淹れましょうか」


無「頼む」

ーーーー


靴を脱いで居間に上がったわたしは、台所に立ってやかんでお湯を沸かす。


「…そういえば、無惨さん…太陽のこと」


無惨さんが太陽を克服(?)してから一週間ほど経つ。
けど毎日が慌ただしくて、深く考える時間がなかった。



無「…ああ

恐らく、時差の問題だろう」


そう言う無惨さんの口調は、あくまで冷静ないつも通りのものだった。



「時差…」


無「ああ、本来今の私はここに存在しない者
だから一時的に太陽を克服した状態となっているのだろう」


冷静な物言いを続ける無惨さんの言葉を、わたしはすぐに理解出来た。


…けど、元の時代に戻れば太陽の光はまた天敵に戻ってしまう。

元の時代で克服しないと意味が無いのだ。


だから彼はあくまで冷静なのだろう。


「わたしが大正時代に時渡りしたのと同じような感じという事です?」


無「そういう事だ
Aは頭が切れるな

ところで、湯が沸騰し………」


「あーー!!!!ごめんなさい今すぐ止めます今すぐ淹れます!!!!!!」


褒めて貰えた嬉しさに浸かる間もなく、即座にコンロを止めた。



生活費は彼が請け負ってくれているから、少しも無駄にはしたくなかった。

理想的な平日夜→←顔が真っ赤、頭は真っ白



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作者名:スイ | 作成日時:2020年1月25日 22時

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