好きじゃねぇよ、バーカ。 【名前変換可能】

Obstinate＊08 ページ8

考えてみる、なんであんな気持ちになるのか。

友人と昔から一緒にいた仲野が、いい感じだからか。

いや、多分それは違う

友人に自分の居場所を奪われた気がしたからか。

これも違う

じゃあ、この感情はなんなんだろう

悲しみ？寂しさ？

それとはまた別な気がする。

結果がどんなものであるにしたって

友人の茉菜にこんな感情を抱く私は、決していい子ではない。

「おーい、A？」

『………………』

「Aー！」

『え？あ、は、はい！』


意識が遠くにいっていた頃、聞きなれた声が私を呼んで我に返った

「んもー、どうしたの？昼からA変だよ？」

それは、私の悩みの張本人で




『いや、なにも…………ない。』




嘘が下手な自分が嫌になる

すぐ顔に出てしまう自分が、恨めしくなる




だから





「なんか悩んでるでしょ。」





茉菜にもすぐ見抜かれちゃうんだ




『まぁね』



心配してくれているらしいから、悪いようには言わない。



ただ





「拓真の、こと？」






悩みを的中されると、多少私も鼓動が早くなっていく



『……………。』



嘘をつくわけにも行かず、私はただ頷く




「……………あのさ。」


.









.





.









.





.









.



「A、なんか勘違いしてない？」

『へ？』




自分でも間抜けな声だったと思う




「あ、やっぱ当たりかー♪」

『な、なにが。』

「んー？」



目の前でキャッキャ笑う茉菜は、お世辞抜きに可愛いと思う



「いやね、Aって拓真のこと好きなんじゃないかなーって思って、試してみた！」




可愛い顔で、とんでもないことを言う





『…………お疲れ。』

「ちょっと！お疲れって何！あぁ、やっとAにも春が来たって思ったのにー！」

『あー、はいはい。』




悩んでた自分が馬鹿みたい。

心が軽くなった私は鞄を手にして、帰るよう催促した


『先、出てるから。』

「はーい。」



教室を出ると、もう廊下がオレンジ色に染まりかけていた





.














.









.






『あ』



向こうに、廊下と同じ色をした背中が見える



『っ……。』






バカ、なに意識してんの。


アイツはただの友達。そう、それ以上でもそれ以下でも何もない。


なのに、背中だけでわかるのは


ずっと見てきたから、なんて軽い理由じゃないかもしれない。

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