289：隠密作戦 ページ15
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「電気も点いてねーし、中に人がいる感じはねえな」
デバイスが示した建物を見上げながら、切島くんが言った。廃倉庫を装ってるようだが、中に何かあると思えばそこはかとなく薄気味悪さも感じる。
「どうにか中の様子を確認したいけど…」
頭を悩ませる緑谷くんに、酔いの回った大きな声が掛けられる。
『ここからだと厳しそうだね』
続いてヤオモモちゃんに絡みに行く飲んだくれの一般人に「パイオツカイデー」「オッラァ！」と威嚇する級友たちを横目に言った。
建物は街灯もある道路に面している。あり多くはないけど人通りもある。
「目立つ動きは出来ませんわよ。どうされますの？」
『それは敵の方も一緒。きっと別の入口があるはずだよ』
夜な夜なこっそり建物内に入るとしても、まばらに来る人の目を全て避けるのは難しい。その度に人を殺めて…なんて狂気的じゃなければだが。
「一旦建物の裏に回ってみよう」
どれだけか細くても僕らにはここしか情報がない。
緑谷くんがそう呟いて、私は静かに頷いた。私たちは不確かな情報でも手繰り寄せなければならないのだ。
人目を避けて、狭い路地を並んで進む。すると、人の方に乗れば中の様子が確認できそうな、丁度いい窓があった。
「身長的に考えて…緑谷と柊が上だな」
「でもかなり暗いだろう。見えるかどうか…」
すると切島くんが懐から取り出したのは、たった今ヤオモモちゃんが創り出そうとしていた暗視鏡だった。緑谷くん曰くかなり高価なものだと。索敵に向かない個性の彼が、出来ることを考えた結果らしい。
『じゃあ切島くんが上に乗った方がいいよ』
「それだと飯田の負担になっちまうから」
『…わかった。ありがとう』
その厚意に感謝して暗視鏡を受け取ると、彼は満足気な表情で頷いた。焦凍と爆豪くんは素敵なクラスメイトに恵まれたんだね。
私と緑谷くんは「危険を感じたらすぐ逃げ出せるように」と飯田くんからアドバイスを受け、逸る気持ちを沈めて塀の外に頭を出す。
暗視鏡を構え、目を凝らした。建物内は重機や木材、工具などが散乱していて、人の出入りがあるとは思えない。しかし私の目はあるものを捉えてしまい、臓物が晒されるような怖気が全身に走った。
その狼狽は、隣で番を待っていた彼にも伝わったらしい。
「柊さん？何が見えたの？」
『…左奥。』
スコープを覗き込んだ彼がバランスを崩して落ちないように、その上着を掴んだ。
『…脳無がいる』
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弓月有無％(プロフ) - 完結おめでとう御座います！！轟家の結構読んで来ましたが、初めてのタイプで新鮮で楽しかったです。最初こそ夢主ちゃんが好きだったのですが、成長などみていくに連れ段々双子が好きになって行きました。題名当たってて嬉しかったです。これからも応援しております！！ (2024年7月15日 1時) (
レス) id: 1ab55170b6 (このIDを非表示/違反報告)
つぎはぎウルフ(プロフ) - ミルフィーユさん» 私だからこそ書ける轟家、双子というのを試行錯誤して、その魅力を感じ取ってもらえたことがとても嬉しいです。お気持ちはありありと伝わりました。こうして目に見える形で伝えてもらえて光栄です。読了ありがとうございました！ (2021年1月26日 5時) (レス) id: 845ea04d4f (このIDを非表示/違反報告)
ミルフィーユ - 完結おめでとうございます。とてもとても面白かったです。言葉の選び方やショートとホムラの心情の変化など、他の方の作品とは一味違っているのがいいなと思いました。拙い文章なので、上手く伝わっているか分かりませんが、大好きでした。 (2021年1月14日 3時) (レス) id: 9176ab7d5f (このIDを非表示/違反報告)
つぎはぎウルフ(プロフ) - しいさん» ずっと前から「こうしよう」と決めていたお気に入りのラストなので、そう言ってもらえて嬉しいです！読了ありがとうございました！ (2021年1月9日 22時) (レス) id: 845ea04d4f (このIDを非表示/違反報告)
しい - 終わり方が最高です(感涙) (2021年1月8日 19時) (レス) id: aeab29cc30 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：つぎはぎウルフ
| 作成日時：2020年12月6日 16時
