05：これは偶然か、必然か。 ページ6
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梅雨特有の湿っぽさを散らすために全開にされたドアから、クラスメイトの過半数が登校している教室に入る。固まって談笑している女の子たちや周りの席の子と朝の挨拶をしながら席についた。
一学期が始まってまだ一ヶ月しか経っていないが、生徒の大多数が担任に懇願して席替えをしたので、元々座っていた出席番号1番の席から最も遠い窓際の席になった。とはいえ、雄英の授業スピードを鑑みると後ろの席だからといって居眠りでもしてしまえば赤点まっしぐらだ。
この席だからこその利点は、開け放たれた窓からそよ風が吹くことだろう。けれども今の季節じゃそれもじめっとしているから、個性で少し温度を下げる必要がある。おまけに風を強めると、周りの席の子が小さな声で「涼しい」と呟いた。
＿＿今日は手紙を出してから二日後の金曜日。
しかし音沙汰はない。
やっぱり望み薄だったか。それともやり方がアナログ過ぎて面倒くさがられたのか。スポットライトではなくブルーライトで照らされるこのご時世だから仕方がないのかもしれない。とはいえ文通を提案したのは私だから美亜に悪いことをしてしまったな。
「天野ちゃん、クーラー入れたから窓締めて〜」
「あ、はーい」
窓際の席の人たちから「従順！」とか「あとちょっとだけ」とのわがままを流しつつ、個性を止めて窓を閉める。クーラーが効いて室温が下がるには少し時間がかかるし、そもそもこの辺りはクーラーを入れたところであまり涼しくないからこそのわがままだ。
程なくして予鈴が鳴り、直後に美亜が教室へ慌ただしく入ってきた。一時間目の後に挨拶をしようと思ったが、何故か美亜は自分の席につかずこちらに向かってきている。
「っ、A…！！」
そして、興奮気味に私の肩を強く揺らした。
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「……」
昼休み、例の空き教室で私は頭を抱えていた。前の席に座る美亜は誇らしげに、私と私が手に持っている淡いグレーの便箋を見ている。
「ロッカー開けたら入ってたの！びっくりしちゃった！」
──まさか轟くんから返事が来るとは。
それも“了承の返事つき”で。
自分の役割は真面目にこなしたつもりだが、返事に関しては正直に言うと興味半分諦め半分で書いていた。いや、一生懸命書いたものに見合う返事じゃなかった時、僅かでもショックを受けないようにあらかじめ高を括っていた。
「A、これからも応援してくれる…？」
その後ろめたさも理由の一つだろう。上目遣いでそうお願いする彼女に、逆らえなかった。
こうして私は、彼女の“運命かつ本気の恋”に、振り回されることになる。
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つぎはぎウルフ(プロフ) - あかねさん» こちらにもコメントしてくださりありがとうございます。楽しみにしていただけてとても嬉しいです。あかねさんも体にお気をつけて、陰ながら創作活動を応援しております。こちらの小説も更新頑張ります！ (2020年7月16日 17時) (
レス) id: 845ea04d4f (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - つぎはぎウルフさんの作品はどれも続きが気になるものばかりで、常に続きを楽しみにしながら読んでいます。これからも更新楽しみにしながら待ってます！体に気をつけて自分のペースで更新頑張ってください！ (2020年7月16日 7時) (レス) id: e8088c70b5 (このIDを非表示/違反報告)
つぎはぎウルフ(プロフ) - きなこもちさん» ありがとうございます。私も楽しみながら書いているものを楽しく呼んでもらえて嬉しいです。コメント読んでいて思わず顔がにやけちゃいました…(笑) 気に入ってもらえて何よりです(o^^o) 更新頑張ります。 (2020年7月14日 18時) (レス) id: 845ea04d4f (このIDを非表示/違反報告)
きなこもち(プロフ) - 更新お疲れ様です！いつも楽しく読ませていただいてます。今までそこそこの量のヒロアカ二次創作を読んできましたが、この作品が一番好きかもしれません...！これからの展開がとっても楽しみです(´∀｀)応援しています！！！ (2020年7月13日 20時) (レス) id: 6f695c5604 (このIDを非表示/違反報告)
つぎはぎウルフ(プロフ) - ゆり。さん» ありがとうございます！ヒーロー科×他科の生徒、ということで、接点が少ない分表現が一辺倒になっていないか心配だったのですが、そう言ってもらえて自信がつきました。もうしばらく続きますので、今後も応援よろしくお願いします…！ (2020年7月10日 16時) (レス) id: 845ea04d4f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：つぎはぎウルフ
| 作成日時：2020年6月19日 20時
