02：覚悟と心意気 ページ3
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誰もが片手サイズの電子機器を持ち歩くこのご時世では、形が残らない想いが増える一方だ。そんな現代の波に逆らうように、“物を残す”という覚悟と心意気は素敵だと思う。
「私が書くの…？」
けれど、あくまでその心意気を自己完結させるならの話。他者が介入するのは如何なものか。
「Aって字が綺麗でしょ？だから手伝ってほしいなあって」
「美亜の字だって可愛いじゃん」
「え〜〜でも恥ずかしいし…」
相手とのやりとりを想像して体温が高まったのか、美亜は小さな手で顔のそばをぱたぱたと仰ぐ。熱で冷静な判断力を欠かないためにも、私も少しだけ個性を使ってあげた。
「ラブレターじゃなきゃ駄目なの？」
真っ向から彼女のやり方を否定するつもりは毛頭ない。ただ、告白の方法なんて多種多様だ。たとえば少しアナログだが、手紙で呼び出して直接告白するとか。
けれども美亜は私の提案に対して、そこはかとなく不満そうに「うーん」と唸る。
「やろうと思えば、今どきスマホで告白したり付き合ったり、別れたりも出来るでしょ？」
「そうだね」
「でも、この恋はそういう風に簡単に済ませたくないの」
いつになく真剣な眼差しが私を見つめて、これ以上は反論も見当たらなかった。
このご時世に形に残る想いを残すことは本当に珍しいし、素敵な事だと思う。何より彼女がここまで本気なのなら手を貸す他ない。
「…ねえ美亜、ちなみに相手は誰？」
「A組の轟くん！」
──A組って、ヒーロー科の？
脳内検索にヒットしたのは一人だけだ。
「轟くんって…あの轟焦凍？」
「そうだよ、なんで繰り返すのっ」
ちょっと小馬鹿にしたように美亜は笑う。でも困惑しない方がおかしいと思う。
同じ雄英の生徒ですらヒーロー科の生徒は憧憬の的だ。尚且つ彼はあのエンデヴァーの実子で、体育祭は二位入賞の実力者、顔立ちも凄く整っていてスタイルもよくて──褒め言葉なんていくらでも出てくる。彼をよく知らない私ですら。
見た目も個性も、自分じゃどうしようも出来ない家柄さえもハイスペックな彼のことを、毎日のようにクラスの誰かしらが噂している。
美亜はそんな彼を好きになったということは、つまり入学してから数ヶ月であの轟焦凍と密度の濃いやり取りをしていたのだろう。彼女も彼女で只者じゃないな。
「美亜、凄い人と知り合いだったんだね」
「え？一回も話したこと無いよ？」
さも当然のように彼女はそう答えて、また私は間抜けな相槌を打った。
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つぎはぎウルフ(プロフ) - あかねさん» こちらにもコメントしてくださりありがとうございます。楽しみにしていただけてとても嬉しいです。あかねさんも体にお気をつけて、陰ながら創作活動を応援しております。こちらの小説も更新頑張ります！ (2020年7月16日 17時) (
レス) id: 845ea04d4f (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - つぎはぎウルフさんの作品はどれも続きが気になるものばかりで、常に続きを楽しみにしながら読んでいます。これからも更新楽しみにしながら待ってます！体に気をつけて自分のペースで更新頑張ってください！ (2020年7月16日 7時) (レス) id: e8088c70b5 (このIDを非表示/違反報告)
つぎはぎウルフ(プロフ) - きなこもちさん» ありがとうございます。私も楽しみながら書いているものを楽しく呼んでもらえて嬉しいです。コメント読んでいて思わず顔がにやけちゃいました…(笑) 気に入ってもらえて何よりです(o^^o) 更新頑張ります。 (2020年7月14日 18時) (レス) id: 845ea04d4f (このIDを非表示/違反報告)
きなこもち(プロフ) - 更新お疲れ様です！いつも楽しく読ませていただいてます。今までそこそこの量のヒロアカ二次創作を読んできましたが、この作品が一番好きかもしれません...！これからの展開がとっても楽しみです(´∀｀)応援しています！！！ (2020年7月13日 20時) (レス) id: 6f695c5604 (このIDを非表示/違反報告)
つぎはぎウルフ(プロフ) - ゆり。さん» ありがとうございます！ヒーロー科×他科の生徒、ということで、接点が少ない分表現が一辺倒になっていないか心配だったのですが、そう言ってもらえて自信がつきました。もうしばらく続きますので、今後も応援よろしくお願いします…！ (2020年7月10日 16時) (レス) id: 845ea04d4f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：つぎはぎウルフ
| 作成日時：2020年6月19日 20時
