10：人知れず遭逢 ページ11
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翌日は案の定寝坊してしまい、いつもより二本遅い電車乗ることになった。少しでも人が少ない時間、つまり早い時間に到着するように小走りで門をくぐり抜ける。
走った甲斐があったかどうかは分からないが、ここ最近で一番強い朝日が差し込む昇降口はまだ閑散としている。
「誰も…いないよね」
周囲に人が居ないか確認し、相変わらず何も入っていない綺麗なロッカーの上段に封筒を置く。駅から走りっぱなしだったので、首元に風を当てて涼むことにした。
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ロッカーの上段にはまた手紙が入っていた。いつも通り『轟くんへ』とボールペンで書かれた宛名、封には星型のモノクロのシール。差出人は、1ーDの橘美亜。
文通相手からの手紙は帰宅してから読むので鞄の中にしまった後、友人の話がふと脳裏に蘇った。「相手の顔も分からないのに怖くないのか」と。今まで気にしたことが無かったが、この時間に登校している生徒は少ないから特定出来るかもしれない。
今日は梅雨らしくない天気だからだろうか。芽生えた探究心は成長をとどまることを知らず、俺はA組から目と鼻の先にある1ーDの教室を目指した。
D組の教室はどの窓も全開にされていて、そこから複数の男女の声が聞こえた。どうやらこのクラスの生徒は予想に反して登校が早かったようだ。テストでもあるのだろうか。
せっかく来たのだから、と開けっ放しのドアからそっと教室内の様子を伺ってみたが、ひとかたまりになった生徒たちが英単語帳を片手に問題を出し合っている。やはり手紙の相手は特定できそうにない。しかし、A組に帰ろうと思ったその時、輪から離れた一番端の窓際の席にも生徒がいたことに気付いた。
この時期にしては珍しいくらい日差しが強いのに、名前も知らない彼女の横顔は涼しげだ。下ろされている髪は見ているだけで暑いが、当人は鬱陶しそうにない。
窓を全開にしているのが虚しい抵抗と感じるほど風がない今日。それなのに、胸元まである藍色の髪が嫋やかに靡いているのが不思議だった。
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つぎはぎウルフ(プロフ) - あかねさん» こちらにもコメントしてくださりありがとうございます。楽しみにしていただけてとても嬉しいです。あかねさんも体にお気をつけて、陰ながら創作活動を応援しております。こちらの小説も更新頑張ります！ (2020年7月16日 17時) (
レス) id: 845ea04d4f (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - つぎはぎウルフさんの作品はどれも続きが気になるものばかりで、常に続きを楽しみにしながら読んでいます。これからも更新楽しみにしながら待ってます！体に気をつけて自分のペースで更新頑張ってください！ (2020年7月16日 7時) (レス) id: e8088c70b5 (このIDを非表示/違反報告)
つぎはぎウルフ(プロフ) - きなこもちさん» ありがとうございます。私も楽しみながら書いているものを楽しく呼んでもらえて嬉しいです。コメント読んでいて思わず顔がにやけちゃいました…(笑) 気に入ってもらえて何よりです(o^^o) 更新頑張ります。 (2020年7月14日 18時) (レス) id: 845ea04d4f (このIDを非表示/違反報告)
きなこもち(プロフ) - 更新お疲れ様です！いつも楽しく読ませていただいてます。今までそこそこの量のヒロアカ二次創作を読んできましたが、この作品が一番好きかもしれません...！これからの展開がとっても楽しみです(´∀｀)応援しています！！！ (2020年7月13日 20時) (レス) id: 6f695c5604 (このIDを非表示/違反報告)
つぎはぎウルフ(プロフ) - ゆり。さん» ありがとうございます！ヒーロー科×他科の生徒、ということで、接点が少ない分表現が一辺倒になっていないか心配だったのですが、そう言ってもらえて自信がつきました。もうしばらく続きますので、今後も応援よろしくお願いします…！ (2020年7月10日 16時) (レス) id: 845ea04d4f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：つぎはぎウルフ
| 作成日時：2020年6月19日 20時
