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これこそ、光陰矢の如し
セナのお決まりの口癖になりつつあったソレにはピッタリだ
時期はもう3月、返礼祭とおれたち3年生の卒業シーズン
なんなら丁度、返礼祭を終えたところなんだよなぁ。
屋上でまってる
数分前に送ったメッセージには早くも既読が付いていて、Aのことだから今頃ガンダッシュしてるんだろうな
なんて、余裕ぶっこいてさ、おれはあいつを呼び出した。
……積もる話をする予定で
『レオくん』
「おっ、来たな！まってたぞ！」
屋上に辿り着いて、逢いに来てくれたAは中々に息を切らして、髪も乱しちゃってさ。
そんなにおれに会いたかったのかな、そうだといいな、
『ライブ後なのに、どうしたの？…大事な話？』
「うん、相変わらず鋭いっ！流石おれの幼なじみ！分かっちゃう？あはは、言わなくても分かっちゃうか〜！」
周りから見れば今のおれもいつも通り、通常運転に見えるのかも知んないけど
おれからしてみれば18年生きてきて、今いちばんこの時が最大の山場のようにも感じて若干口早になる
『分かるよ。あたしも、話したいことがあるから。』
「んん？なんだ？相思相愛…？じゃあ一緒に言っちゃう？」
『ふはっ、なぁにそれ？…うん、一生に言っちゃおっか。』
気品のある可愛らしい笑い方でその目を細めて、またおまえはおれをトリコにするんだ
「せーのっ」
ああ、言いたくないなぁ
「おれ、フィレンツェにいく」
『あたし、ここを離れる』
「『……え？』」
お互い同時に言おうって2人で決めた事だったのに笑っちゃうよな
2人して呆気に取られて、馬鹿みたいな声出してさ
……まってここを離れるって言った？
「どゆこと？」
『そっちこそ？』
「おれは単純にフィレンツェに行くんだぞ！セナと一緒に！あいつと一緒に世界に挑戦してくのっ！」
『へ、へぇ…？すっごい勢い。……あたしは、』
不意に言葉を詰まらせて、おれのほうをちらっと見て目を逸らして、またおれの方を見て今度は目を逸らさずに見据えてくる
ほらまた、自分勝手におれをトリコにしてさ。魔性め。
『君に褒められて、認められたピアノで、みんなを笑顔にしたい。』
"アイドルとは少し違うけど"ってAはハニカミ笑顔で頬をかく
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作者名：なこ | 作成日時：2023年1月29日 20時
