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『お、お邪魔しまーす...』
「はい、どーぞ。」
「うっちゅ〜！！よくここまで辿り着いたな！偉いぞ、A！！」
あの時忍ばせておいた楽譜、もう捨てられちゃったかな...なんて不安になればセナが「本人に聞けば？」と言うので意を決して聞いたんだ。
そしたら今持ってるから渡しに行くよ、とメッセージが来て今に至る。
ナルがアッキ〜先生に掛け合ってAをこっちに来れるようにしてくれたおかげで、セナハウスに来るまでそんなに時間はかからなかったぽいな！
ありがとう、ナル！
『うわぁ、美形の宝庫だァ...』
「声に出てるぞ、A」
『おっと...』
お淑やかなくせして、案外顔面に弱い。
たまにオタクっぽくなるところがあるけど、人はちょっとヘンテコリンな方が可愛いし人間味があるよな！
『あ、そうだこれ...この楽譜、大事なものだよね？』
そう言って渡してきたのは件の楽譜。
クリップで丁寧に纏められたソレをおれは受け取りジーッと目を見つめればそっぽを向かれてしまう。
心做しか耳が少し赤くなってるみたいで、それだけで嬉しくなってインスピレーションが降ってくるおれは大分重症だな。
だから、ちょっと調子に乗ってみたんだ。
「なあなあ、これ弾いてよ！おれ結局弾いてもらったの見てないし！直しが必要ならすぐにやらなきゃイケないんだ！」
「...悪いけど俺からもお願いできるかなぁ。ソレ、今度のスタフェスで使う予定らしいんだよねぇ?」
頼む後押しして！とセナに目線を配れば、半ば呆れ顔で助けてくれる辺りやっぱり優しい。
「歌詞付けて、割り振りしてかなきゃいけないし」とさらに念を押してくれて最終的にAは折れた。
『ここ、お借りしてもいいですか？』
「いいよ〜、えーっと、王さまの「特別」ちゃん？」
「リッツ！！！！！」
ピアノの近くで伏せっていたリッツに声をかければあっさりと承諾したものの、余計なことまで吹き込もうとするもんだから冷や汗が出る。
別に、隠すことでもないんだけどさ。
他のやつの口から聞くのはちょっと恥ずかしいだろ？
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作者名：なこ | 作成日時：2023年1月29日 20時
