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百三十話 ページ31

激痛の走る身体を支えるように膝をついて、羽奶を睨んだ。

羽奶「まだ立ってられるんだ。24年前の柱はこの攻撃で死んだのに」

『ッフー…フー』

羽奶「あーあ!そんなに痛かった?呼吸もままならないじゃない!」

『…殺す』

羽奶「汚い言葉遣いね、黙らせてあげる」

『ぁああッ!!』

突き刺さっていた羽が引き抜かれ、傷口から血が流れて床にボタボタと垂れた。

羽奶「もう動かない方がいいわよ?血が止まってないもの」

特に痛む肩に集中して止血をするけど傷が多すぎる。
次第に焦りは苛立ちへと変わっていく。

羽奶「私はね、20年前までは十二鬼月だったのよ?」

ふわりと羽を浮かべて挑発的に笑った。
逆光で見えなかったその瞳には下限の文字が刻まれていた。だが文字の上には切込みが入っていた。

『降ろされたんだね、かわいそうに』

刀を再び構えて、ズキズキと痛む身を奮い立たせる。

ズズ…と体の底から燃えるような熱を感じる。
痣の力だ。もうこの感覚に驚きはしない。


『獅子の呼吸__壱の型』

“獅子奮迅”


羽奶「は…なんでそんな動けるのよ!?」


一気に距離を詰めて、切りかかる。
防御の羽も切り裂き、羽奶の体に深い傷を負わせた。

羽奶「イッタイ!!ふざけるな!」

先ほどより威力を増した羽を交わしながら距離を保つ。

羽奶「ちょこまかと…!」

羽が壁に当たるたびに響く爆音と衝撃。
かする度に飛び散る私の血。
羽奶の傍で横たわるお兄さんは震えていた。

『大丈夫です。すぐに助けます!』

羽奶「コイツは私の食事だ!」

『人の命をなんだと思ってるの!』

羽奶「人なんて嫌い!!私を独りぼっちにするから!」

悲鳴に近いその叫びに身を強ばらせる。

羽奶「どうせ!みんないなくなるんだ、だったら私が食べてずっと一緒にいるんだから!」

『子供じみたことを言わないで!如何なる理由があってもあなたには人の命を奪う権利はない!』

羽奶「綺麗ごとばっかり…!腹立つのよ!そうやって正義を振りかざして気持ちよくなっているだけでしょう!」

『なにが綺麗ごとだって…?』

羽奶「え…?」

一瞬で羽奶の背後に回り込んで頸を狙った。

羽奶「ウっ」

羽で守られた頸は固く、刀が半分しか入らなかった。

『お前は地獄に墜ちる、今まで殺めた罰だ』

羽奶「っうるさい!うるさいうるさい!」

一心不乱に飛ばしてくる羽を距離をとって交わす。

羽奶「黙れ黙れ黙れえぇぇ!!」


羽奶は叫びながらそばのお兄さんを引き寄せた。

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パチ麻呂(プロフ) - snowさん» コメントありがとうございます。最後の部分は個人的にこだわっていたシーンなので嬉しいです!続編の方も楽しんで頂けたら嬉しいです! (2020年11月8日 16時) (レス) id: 1f374d88ae (このIDを非表示/違反報告)
snow - パチ麻呂様!とりあえずお疲れ様でございました!もうすごく感動的というか、画面の前で号泣してしまいました。ありがとうございました。高評価して、続編に飛んでいきます!これからも応援してます! (2020年10月28日 22時) (レス) id: 6289ae6079 (このIDを非表示/違反報告)
みーさ(プロフ) - お返事ありがとうございます!性癖っていうんですかw続編も見させて頂いてます!これからもよろしくお願いします(*'ω') (2020年6月22日 21時) (レス) id: 02b4f910b1 (このIDを非表示/違反報告)
パチ麻呂(プロフ) - みーささん» うわわ(;_;) すっごく嬉しいです、、!こういうオチが性癖なので受け入れていただけるのは本当にありがたいです(( 続編でも当作品よろしくお願い致します! (2020年6月16日 1時) (レス) id: 1f374d88ae (このIDを非表示/違反報告)
みーさ(プロフ) - コメント失礼します。どストライクな作品でもう号泣しました(TT)ありがとうございました!! (2020年6月15日 21時) (レス) id: 02b4f910b1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:パチ麻呂 | 作者ホームページ:ないです〜  
作成日時:2020年5月4日 0時

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