*.**.…Episode 5….**.** ページ5
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「例えば……………、アンタのその大事な嬢ちゃんを襲う用の仲間を反対側に付けとくとかな…」
男の発せられる言葉と共に瞬時に危機感が身体を廻り、一瞬スローモーションになったかの様にお嬢の逃げた方を振り返る。
「へ、無防備過ぎだぜ嬢ちゃんよォ。ちっと甘かったな」
「…っイヤ!!離して…!!」
「…お嬢ッ!!!」
そこには長の男の次に体格が良いと思われる男がその体を使い、お嬢の動きを封づるように腕や肩を固定している。
私は光の速さでお嬢の元へ走ろうとするが、油断してしまい左右から男達に捕まってしまった。
「…ッ!」
「残念だったなァ嬢ちゃん。あんたの大事な嬢ちゃんを守ろうとしてもあんたも捕まっちまったら元も子もねェなァ」
長の男は捕らえられたままの私の前に不敵に笑い立つと、ガシッと片手で私の顎を掴み上げる。
「…だが、心配要らねェよ?嬢ちゃん達は別々にしてやるから。あんたにとって大事な奴が目の前で鬼畜に食われるのは心が痛ェだろ。…だったらせめて別々にあんたらを食してやるよ…」
そう怪しく笑うが、ますます悪寒が刺すだけだった。
_____ああ、もうダメなのね。
結局私はお嬢を守るどころか危険な目に合わせ、この薄汚い野郎共に食われるような真似しか出来なかったのだ。守る以前に危険な事に関わらせてしまった…。
小さい頃から貴女だけを守るために、護るために育てられてきたのだというのに……
お嬢は目の前で捕まりながらも懸命に泣き叫びながら私の名を呼んでくれている。何度も何度も……。
危険を知らぬまま生きてきたお嬢。その慣れない恐怖を初めて前にして、自分が誰よりも怖くてたまらない筈なのに、誰よりも帰りたい筈なのに。
何度も何度も「信女さん」……、その名を呼んでくれていた。
そんなお嬢を見たら、私は胸が苦しくなり目尻が熱くなってきた。
__________…ごめん、ごめんなさいお嬢。守れなくて…、最後に、貴女の側にいられなくて。
私は……、お嬢の剣と盾失格ね……。
男はグッと私の顎を掴み上げたまま笑みを深くし、私の顔へと近づいてくる。お嬢が一際泣き叫ぶ声が轟く。
「…っ、
信女さぁぁぁぁぁああん!!!!」
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威信 - すごく面白かったです! (2020年1月21日 19時) (携帯から) (レス) id: effeeaf02a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:交差点プリン | 作成日時:2017年6月21日 0時