*.**.…Episode 2….**.** ページ2
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最後は敢えて自分の都合も言わせてもらった。
ごめんなさい、お嬢。でも、こうしないと貴女は聞いてくれないから…
私の言葉にお嬢はハッとして少し反省したような表情を浮かばせた。
「そうですね、ごめんなさい信女さん。貴女は私に付き合ってくれているのに…、私は貴女の気持ちも考えなかった…」
「…お分かりになって頂けたらそれだけで十分ですよ。私は……、貴女に安心してオフを楽しんで貰いたいから」
そして、再び笑顔になったお嬢と密かに微笑んだ私はまた歩き出した。
陽も傾き始めた頃、辺りは昔の歌舞伎町の匂いを漂わせる様に赤い灯籠がポツポツと淡く付き始めた。それだけで江戸時代にタイムスリップした気分になる。
「今日は楽しかったです!また一緒に行きましょうね、信女さん…!」
「はい。楽しんでもらえた様で良かった。じゃあ、そろそろ…」
と、お嬢の手を引き帰路につこうとしたところで、私はガシッと強い力で誰かに肩を掴まれた。いきなりのボディタッチに悪寒が背中を巡って身体中に伝わると、バッとそれを振り払った。
振り払った衝撃で私とその手の持ち主は一歩後退する。
お嬢を守る様に背中に隠し、相手を見上げて姿を認めると
予想通りいかにも危険さ漂うオーラを醸し出し、耳に派手なピアスをジャラジャラとつけ、髪型は間抜けな刈り上げ、そして気持ちが悪いほどにニヤニヤと笑っていやがる不良男共だった。
所謂ナンパだ。
男達はニヤニヤ笑みをたたえたまま、一歩近づいて
「よぉ、姉ちゃん達。今から帰っちゃうの?もうちょっと遊んでいこうよ、俺らとさ〜♬」
「そうそう♬ 姉ちゃん達すっげ可愛いから思わず声かけちゃったよ〜!」
何なんだこの気持ち悪い下等生物共は。
私は内心どストレートにモノを思いながら軽く舌打ちをした。
よりによってお嬢と一番関わらせたくない輩と遭遇するとは。
そもそも声をかけてきたのではなく、ぶっちゃけボディタッチがけされたのが事実だ。
それはまだ自分だから済んだものの、お嬢なら危うく瞬殺していて問題を起こすことになるかもしれなかったのだ。
私は気を取り直し、男達を睨み返す。
「ナンパなら他でやってくれないかしら。私達は貴方達と違って暇じゃないの」
「へェ〜、まあ見るからにどっかのお嬢様みてェだな。だが、それなら尚更だ。家柄も良くて、しかもとびきり美女なら遊びがいがあるだろ……」
(…コイツら!)
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威信 - すごく面白かったです! (2020年1月21日 19時) (携帯から) (レス) id: effeeaf02a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:交差点プリン | 作成日時:2017年6月21日 0時