二十八躍 見た目で判断すると自分で真相は暴けない ページ27
「高杉…!?」
酷く驚いた月詠は慌ててブレーキを踏んだ。そして気づかれないようにソッとバックミラーで彼らの様子を伺う。
何故彼があんな集団に囲まれてこんな所にいるのだろう。月詠はそんな気持ちでいっぱいになり冷や汗と共に車のハンドルをギュッと握る力を強くする。
そしてかすかに聞こえてくる声に耳を傾けた。
「こんな所に呼び出して何の用だ」
「やっと来たのかい、高杉さんよォ……」
どうやら高杉はこの集団に呼び出されたようだった。月詠は目を凝らしバックミラー越しに映る集団を観察する。
腕や�茲、所々にタトゥーの模様と耳にこれでもかと言うほどにじゃらつくピアス、何故か半数の髪型がモヒカン、そしてこの付近でも危険視されている春雨校中学部の制服をだらしなく身につけていた。
「学校までサボって来てやったんだからさっさと用件を言え。俺ァこれからそろばん塾があるからよ」
「フン、呼んだのは他でもねェ。アンタにちょいと協力してもらいてェんだ」
(協力!?もしかして高杉に良からぬ事をさせるつもりか…‼)
話を聞いていた月詠は集団の一人が話し出す前に車から飛び出していた。
「貴様ら、何をしておるんじゃ!!四肢をバラバラにされたいのか!!」
「!!?なんだこの女ッ!!」
「3秒以内に立ち去らねばまず頭を�惜き切る。いーち……」
一を紡いだ途端、一人の男の背後の塀に矢が突き刺さった。
「ひっ…⁉」
「にぃー…」
悲鳴が上がる瞬間にも月詠は追い討ちをかけるようにどんどんカウントしていく。
「わ、わかった!!どこへでも行ってやるよ!!」
そう叫ぶと足を縺れさせながらも男たちは懸命にドタドタと散って行った。
「…月詠先生」
「高杉大事ないか!?何もされてはないな!?」
月詠は高杉に急いで駆け寄ると、全身に傷がないか確認するように彼の周りを一周する。
そんな彼女に呆れながら高杉はため息を吐く。
「俺は大丈夫だよ。つか、あいつらは俺に悪ィ事させようと呼び出した訳じゃねェ」
「何言っとるんじゃ。あれはどう見たって主がたぶらかされる瞬間だった。しかもあやつら春雨校中学部の生徒じゃ…」
「確かにあいつらは春雨校の奴らだ。でも中学部の中でもあいつらは俺と同類なんだよ。もう悪ィ事なんかする様な奴らじゃねェ」
「…その言い方だと"昔はしていたが、今はしない"…そう言う意味に聞こえるが」
月詠は塀に刺さった矢を抜きながら吐息交じりに訊ねる。
「…話してやるよ、全てな」
二十九躍 キメちゃうのもちゃんとした理由がある→←二十七躍 首を突っ込む前に抜ける穴か確認しとけ
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白玉(プロフ) - 面白すぎる..さすがプリン!!ww (2017年10月1日 8時) (レス) id: d7b0293ef7 (このIDを非表示/違反報告)
プリンちゃま(別垢)(プロフ) - みかんさん» みかんさん、ありがとうございます!『面白い』と評価して下さってマジで嬉しいです!!これからも応援ヨロシクお願いします★ (2017年4月8日 20時) (レス) id: 5afe51ca08 (このIDを非表示/違反報告)
みかん - とっても面白かったです!沖田と神楽の所が特に面白いです!これからも更新頑張ってください!応援しています! (2017年4月8日 19時) (レス) id: 7cb491045b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:交差点プリン | 作成日時:2017年3月31日 18時