第七話 玉狛支部 ページ8
『只今戻りました』
明かりの煌々とついた玄関に立ち、千代はそう言葉を発した。
「お帰りなさい、千代さん」
お風呂上がりなのかまだ微かに湿っている髪を揺らしながら一人の少女が玄関まで降りてくる。
『栞ちゃん只今、訓練室ってまだ空いてるかな？』
帰ってきてそうそう云う千代に、玉狛支部の宇佐美栞は苦笑いした。
「そうやって無理するのは良くないですよ」
掛けている赤縁眼鏡をくいと上げ彼女は云う。
『でも、』と千代は申し訳なさそうに云った。
『記憶を失って大怪我してた処を保護してくれたの
はボーダーだから、
其れに玉狛の部屋迄貸して呉れているし・・・』
『少しでも多くボーダーに貢献しなくちゃ』
そう言葉を続ける千代に宇佐美は苦笑いする。
「此の間過労で倒れた人が何を云うんですか、
皆心配してるんですよ？」
「取り敢えず上行きましょ？」
その言葉に頷き、千代は宇佐美と共に階段を上がった。
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玉狛支部。
ボーダーの数ある支部の中の一つであり、 ボーダーでも優秀な隊員の揃った支部である。
彼らの使う武器は通常の武器とは桁違いの強さを誇り、ボーダー最強の部隊と呼ばれている者達もいる。
そんな玉狛支部に千代は身を置き、ボーダーに貢献しようとこの数年力を奮っていた。
人より優れた運動神経、瞬発力、何より彼女の''異能力"が彼女をボーダーでも力のある隊員にしていた。
サイドエフェクトとは違う不思議な力を持つ女性隊員。
千代はそう他の隊員達から云われていた。
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「メシを食え」
ボーダー内でも特に優秀な隊員である木崎レイジに開口一番にそう云われ、千代はしぶしぶ席に着いた。
既に冷めていたオムライスをレンジに突っ込み木崎は千代に淹れたての珈琲を手渡した。
右目の視界に入るように珈琲を差し出してくれた彼に千代は『ありがとう』と礼を云う。
チンとレンジから音が鳴り、木崎は温まったオムライスを取り出した。
綺麗な黄色に千代は相変わらず料理が上手いなと内心褒め讃えた。
「所で、」
千代が食べ始めてから数分。
ノートに練習メニューを書いていた彼が口を開いた。
「右の瞳の色が大分変わったな」
木崎のその言葉に千代は『嗚呼』と言葉を洩らす。
千代の元の瞳の色は綺麗な水色をしていた。
快晴の日の空のような淡い水色だ。
その色は今も失明した左目には残っている。
しかし問題は反対の健康な右目だった。
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RAIN@元アラジンlove(プロフ) - ジュリさん» コメントありがとうございます。なかなか浮上できませんがこれからもよろしくお願いします。 (2017年11月5日 16時) (
レス) id: 5aca2d49f2 (このIDを非表示/違反報告)
ジュリ - 作者さんのペースでいいですから、更新がんばってください！ (2017年11月5日 12時) (レス) id: 84c51744c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：RAIN@元アラジンlove | 作成日時：2017年9月23日 20時
