番外編 ※書きたかった場所だけなので突然始まって突然終わります。 ページ25
コツコツと辺りに高いヒールの音が漏れる。
コツコツ、コツコツ、コツ・・・
そのヒールの音は止まり、風の音が辺りを支配した。
その音に釣られるように、芥川と敦はそちらを見る。
『・・・』
そこには一人の女性が立っていた。
白い日傘、白いワンピース、白いヒール。すらっと伸びた細い手足もワンピースから覗く白い首筋も、光に当たりキラキラと輝く銀髪も彼女の全てが真っ白だった。
しかしその顔にある印象深い夕陽色の瞳は真っ白な中で光り輝いている。
一般人か・・・?
しかし彼女は傷だらけの二人を見ても、屋上の縁に立つ太宰を見ても驚いているような素振りは無い。
それどころか慣れたように瓦礫の上をヒールで歩いていた。
「石川、さん・・・」
敦の絞り出したような声が聞こえた。
その名に芥川は僅かばかり目を見開く。
石川と云えば今の黒社会において最も有名な凄腕の暗殺者だ。
冷淡であり、慈悲が無い。それが彼女の筈だ。
しかし今見てもその要素は欠けらも無い。
それどころか何も知らぬ様な無垢な顔をしていた。
遠く離れた場所で二人の戦いを見ていた探偵社にもその白が確認できた。
真っ白な、汚れを知らぬ白。
「奴が、あの石川だと・・・?」
「案外普通の人に見えますね・・・」
そう言った賢治に「油断するな」と国木田は言った。
「奴はポートマフィアの中でも二番目に権力を持つ。凄腕の暗殺者であり乍ら表はポートマフィア首領の秘書だ。」
冷や汗が頬を伝う。
「奴の異能力は精神操作系統の異能だ。
精神操作の異能にかかれば、一溜りもないぞ・・・!」
だが、様子が変だ。
彼女はいつまで経っても行動に移す事が無いのだ。
屋上に広がる沈黙。その静かな空気を破るようにして淳は口を開いた。
その声はひどく悲しそうで、諦めたような暗さを秘めていた。
『彼の人は私に言いました「お前の異能も、お前自身も愛している」と、』
織田は芥川に取り付けていた盗聴器でその会話を聞いていた。
何故だか、響く女性の声から耳を話せない。
『私は私自身でもありこの身に巣食うこの異能を如何しても嫌いになれなかった。
でも、この異能で人を殺すのはもう終わりです
彼の人を、想っているから・・・』
「淳」太宰は彼女の名を呼んだ。
「君に遺言を託そう」
キャラキャラと太宰は明るい声で言う。
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RAIN@元アラジンlove(プロフ) - 無断転載禁止さん» いえいえ、大丈夫ですよ。 (2018年5月11日 21時) (レス) id: 5aca2d49f2 (このIDを非表示/違反報告)
無断転載禁止 - 私の勘違いでご迷惑をお掛けしましたすいません (2018年5月1日 7時) (レス) id: ad49824d41 (このIDを非表示/違反報告)
RAIN@元アラジンlove(プロフ) - 無断転載禁止さん» アイビスペイントにて描きましたので一応証拠として写真を一時的にあげておきますね。 (2018年4月22日 10時) (レス) id: 5aca2d49f2 (このIDを非表示/違反報告)
RAIN@元アラジンlove(プロフ) - 無断転載禁止さん» 本垢なら「とっちー」という名前のはずですが・・・。 (2018年4月22日 9時) (レス) id: 5aca2d49f2 (このIDを非表示/違反報告)
RAIN@元アラジンlove(プロフ) - 無断転載禁止さん» それは私です。本垢か文スト垢かどちらのイラストを見たのかは分かりませんが「雨雫」という名前ですよね? (2018年4月22日 9時) (レス) id: 5aca2d49f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨雫 | 作成日時:2017年4月11日 15時