第六十四話 悪作用 ページ19
勿論、薬や毒には多少の耐性がある。
しかし、酒に混じっているにも関わらず舌についた苦味がその強さを物語っていた。きっと薬の成分がシャンパンのアルコールと混ざった事によって悪作用ともなっているのだろう。
どれ位盛られたか。どの薬を盛られたか。
痙攣した腕を何とか誤魔化し、作り笑いを浮かべる。
彼方此方から噴き出す冷や汗は全身を伝っていた。
「顔色が優れていないようですが、大丈夫ですか?」
『嗚呼、少々冷えてしまったようです』
『冷えは女性の敵ですよね』そう云い何とか誤魔化す。
しかし思っていた以上に薬の作用は速く強い。
『は、』
荒く冷えた息を吐き、上半身が揺らぐ。
テーブルに頭を打ち付ける直前に、男の腕によって抱き留められた。
持っていたナイフとフォークの落ちる音によって事態に気付いた
「如何いたしましたか!?」
艶のある黒髪の女性給仕は顔を真っ青にして淳を抱き留めた男に問いた。
「嗚呼連れが具合が悪いと云っていて・・・
食事の途中ですがホテルの部屋の方で休ませても
宜しいでしょうか?」
男には淳に向かって裏のある笑顔を浮かべると無駄のない動作で財布から万札を数枚出した。
淳は廻らない脳内で舌打ちをした。
元より、こうなるだろうとは予測していた。
ポートマフィア首領専属の秘書であり尚且つ組織の中枢の情報や外つ国のシンジゲートに至る迄、様々記憶している淳を坂口安吾と同様で情報を得る為に吐かせたい連中は数多くいる。
それこそ、情報を得るためだけではなく彼女の物珍しい外見に惚れ手に入れようとする者もいる。
森は目の前の男が彼女自身とその脳内の希少価値のある情報を狙っていた事に事前に気付いていた。
そこで彼女が身体を使い、罠を張り、彼等の裏をかくと云う策を練っていた。
森にとって、もっと良い策は数多くあっただろう。しかし彼はそうしなかった。
何故ならこの策が成功して仕舞えば、何回も組織の為の手管となるから。
力が入らない身体は男によっておぶられ
人のいない昇降機内、男はしめたとばかりに淳の脚を時折あやす様にして触れる。
チンッと云う音と共に開いた昇降機の扉から出ると、男は衣囊から取り出したカードキーの部屋番号を確認していた。
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RAIN@元アラジンlove(プロフ) - 無断転載禁止さん» いえいえ、大丈夫ですよ。 (2018年5月11日 21時) (レス) id: 5aca2d49f2 (このIDを非表示/違反報告)
無断転載禁止 - 私の勘違いでご迷惑をお掛けしましたすいません (2018年5月1日 7時) (レス) id: ad49824d41 (このIDを非表示/違反報告)
RAIN@元アラジンlove(プロフ) - 無断転載禁止さん» アイビスペイントにて描きましたので一応証拠として写真を一時的にあげておきますね。 (2018年4月22日 10時) (レス) id: 5aca2d49f2 (このIDを非表示/違反報告)
RAIN@元アラジンlove(プロフ) - 無断転載禁止さん» 本垢なら「とっちー」という名前のはずですが・・・。 (2018年4月22日 9時) (レス) id: 5aca2d49f2 (このIDを非表示/違反報告)
RAIN@元アラジンlove(プロフ) - 無断転載禁止さん» それは私です。本垢か文スト垢かどちらのイラストを見たのかは分かりませんが「雨雫」という名前ですよね? (2018年4月22日 9時) (レス) id: 5aca2d49f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨雫 | 作成日時:2017年4月11日 15時