第四十七話 三雲 修と銀髪さん ページ48
「千佳・・・!」
眼鏡の少年は少女を助けようと一歩足を踏み出す。
「!此れ以上近付くンじゃねぇ!」
男は威嚇射撃で弾丸を放つ。
周囲が一気に静かになった。
『此れ以上近付いてはいけません
貴方処か今人質の少女が撃たれます』
「でも・・・っ」悔しそうに少年は顔を顰める。
「千佳は・・・彼奴は僕にとって大切な
見捨てるなんて・・・僕には無理だ!」
「此れじゃあ僕は半年前と何も変わらない・・・」少年はそう苦しげに言葉を吐き出す。
淳は何も云わずに少年を見つめていた。
『貴方の名前は?』
口を開いたと思ったら出てきた驚きの言葉に少年は憤りを感じる。
然し、有無を云わせないような淳の表情に少年は答えた。
「・・・三雲です____三雲 修」
『三雲様ですね』
淳は三雲を落ち着かせるように静かに、冷静に云う。
『私は彼女を見捨てろとは云いません 勿論彼女を助
けます
彼女が巻き込まれたのは此方の不手際ですから・
・・・・
只_______』
『"今はまだ其の時じゃない"』
淳は右肩を押さえ乍ら薄く笑みを浮かべた。
其処でやっと三雲は気が付いた。
「怪我を・・・してるんですか?」
脂汗が浮かび些か顔色の悪い彼女の顔を見て三雲はそう訊いた。
淳は其の問に答える事無く、只々力無く微笑んでいた。
少し浅い息をして、淳は
男たちの動きを見乍ら左手をカーディガンの
釦を弄り、谷崎に繋ぐ。
『谷崎さん___』
微かに震える唇で谷崎の名を呼ぶ。
「は はい!」と云う谷崎の声が返ってくる。
淳は未だに浅い息を続け乍ら一度深く息を吸った。
『___準備はできていますね・・・?』
決して男たちに聞こえる事が無いように、細心の注意を払う。
「はい」
谷崎の返事が聞こえた。
隣りの三雲には彼女の言葉が聞こえているらしく、真っ青な顔色は変わらないが微かに表情は柔らかくなった。
そんな三雲を見て、覚悟を決めた淳は鞘から抜いた小刀の刃をちらりと見る。
刃に映る自分の顔はとても酷い物だった。
刃から視線を外し、一度目を瞑る。
落ち着け、落ち着けと自分に云い聞かせた。
"此れよりも危険な事を何回も経験しているでしょう?"
心の中で、もう一人の自分が云った気がした。
『谷崎さん____』
"『お願いします』"
淳の声が小さく響いた。
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RAIN@元アラジンlove(プロフ) - ミリアさん» コメントありがとうございます。ワートリと文ストのクロスオーバーの話なら考えているのですが銀魂の方は大まかなストーリしか知っていないのでご期待に添えるかは分かりません。なかなか占ツクに顔を出す事が出来ませんがこれからも宜しくお願いします。 (2017年9月23日 18時) (レス) id: 5aca2d49f2 (このIDを非表示/違反報告)
ミリア - 凄く気に入った作品で大好きですもし今後他の作品を作る予定があったらワールドトリガーとコラボかトリップか転生した黒バスかアニメKか銀魂の銀時か高杉の姉か妹の作品が読んでみたいです説明が下手ならすみませんこれからも体調にきよつけてがんばてください。 (2017年9月23日 16時) (レス) id: 14f5017be6 (このIDを非表示/違反報告)
RAIN@元アラジンlove(プロフ) - ひかるさん» コメントありがとうございます。なかなか占ツクに浮上する事ができませんが更新頑張りたいと思います。 (2017年6月17日 22時) (レス) id: 5aca2d49f2 (このIDを非表示/違反報告)
ひかる - ウォォォ!続きが気になります。(>_<)更新頑張って下さい! (2017年6月17日 14時) (レス) id: c10de46325 (このIDを非表示/違反報告)
RAIN@元アラジンlove(プロフ) - ふにゃたさん» コメントありがとうございます。更新頑張りたいと思います。 (2017年4月3日 21時) (レス) id: 5aca2d49f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨雫 | 作成日時:2017年2月24日 23時