第二十八話 小刀 ページ29
『うちの同僚が大変ご迷惑をお掛けしました
何か失礼な事をしていないでしょうか?』
淳の言葉に何人かが頸を捻った。
直感的に彼が何かをやらかしたのだと理解する。
「失礼・・・と云うか まぁ その」
メディア対策室長の根付がしどろもどろに云う。
「彼が本当に君の同僚だと云う事実が確認できて良
かったよ・・・
何しろ変な事ばかり云うものでねぇ・・・・・」
『変な事?』
淳は大体の事は予想が突き乍らも訊く。
其の問いに待ってましたとばかりに鬼怒田は口を開いた。
「先刻から
"あの化け物に食われれば死/ねるか"だの
"死/ぬんだったら美人と心中したい"だの
"私は恥の多い生涯を送っている"だの」
待って、最後の何?
其の言葉が口から出る事は無かった。
太宰は「ふふふ」と笑い愉快そうに云う。
「だって死/ぬならあんな妙ちくりんな珍生物に踏み
殺/されたり噛み殺/されたりするんじゃなくって
綺麗な美人さんと一緒に川に身を投げたいもの」
「ね?淳」そう云って腰に腕を回してきたので淳は其れを何食わぬ顔で叩き落とした。
慣れとは怖い物で或る。
『太宰君』
すっかり静まり返ってしまった部屋に彼女の声が響いた。
『冗談を云うのはよしてください
此処はボーダー 私たちは依頼を受けて捜査しにき
た身なんです
確り為すべき事は為してください』
にこりと微笑み乍らも其の瞳は冷たく暗い。
『其れとも・・・』と彼女は笑い声を出してにこやかに笑った。
カーディガンの袖に手を差し入れ微かに見えるのは鋭利な刃を覗かせる装飾の施された鞘の小刀。
『今 此処で 私が刺し殺/しましょうか
出血多量で踠き苦しみ乍ら の話ですが』
部屋の中の誰かがゴクリと唾を飲み込んだ。
今自分たちの目の前に有るのは
あれが少し皮膚を擦るだけでも其の皮膚は裂け、深紅の血を流す事ができる。
「・・・噂には聞いていたが
本当に銃や刀の所持を認められているとは」
忍田がそう呟いた。
口や喉がカラカラに渇く。
彼女は冗談めいて云っているが、漏れ出ている殺気は間違い無く『本物』だ。
其れこそ卓越された腕を持つ"殺し屋"のような___。
微かに見せていた小刀の刃を鞘に仕舞い当本人の淳は何事も無かったように儚い笑みを浮かべる。
『能力を貴方に無効化されてしまうなら
私は此の腕で 此の小刀で貴方の望む死/を差し上げ
ましょう』
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RAIN@元アラジンlove(プロフ) - ミリアさん» コメントありがとうございます。ワートリと文ストのクロスオーバーの話なら考えているのですが銀魂の方は大まかなストーリしか知っていないのでご期待に添えるかは分かりません。なかなか占ツクに顔を出す事が出来ませんがこれからも宜しくお願いします。 (2017年9月23日 18時) (レス) id: 5aca2d49f2 (このIDを非表示/違反報告)
ミリア - 凄く気に入った作品で大好きですもし今後他の作品を作る予定があったらワールドトリガーとコラボかトリップか転生した黒バスかアニメKか銀魂の銀時か高杉の姉か妹の作品が読んでみたいです説明が下手ならすみませんこれからも体調にきよつけてがんばてください。 (2017年9月23日 16時) (レス) id: 14f5017be6 (このIDを非表示/違反報告)
RAIN@元アラジンlove(プロフ) - ひかるさん» コメントありがとうございます。なかなか占ツクに浮上する事ができませんが更新頑張りたいと思います。 (2017年6月17日 22時) (レス) id: 5aca2d49f2 (このIDを非表示/違反報告)
ひかる - ウォォォ!続きが気になります。(>_<)更新頑張って下さい! (2017年6月17日 14時) (レス) id: c10de46325 (このIDを非表示/違反報告)
RAIN@元アラジンlove(プロフ) - ふにゃたさん» コメントありがとうございます。更新頑張りたいと思います。 (2017年4月3日 21時) (レス) id: 5aca2d49f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨雫 | 作成日時:2017年2月24日 23時