第二十話 人虎君と銀髪さん ページ21
『其れは・・・とても大切な物ですね』
部屋の中を見渡し乍ら淳は云った。
床から壁、棚の後ろ側。
矢張り傷一つ無い。
『壁を破壊する事は可能ですか?』
淳の問いに迅は「まぁ一応」と応える。
「と云っても此のボーダー基地はトリオンでできて
るからトリガーとかトリオンによる攻撃しか効かな
いけどね」
迅はぼんち揚げをボリボリと食べながら云う。
人差し指を立て「因みに・・・」と笑う。
「普通の銃とか戦車の攻撃じゃ傷一つつかない」
迅の言葉に淳は少し考えて口を開いた。
『___・・・異能』
彼女の言葉に迅と風間が凍り付く。
敦は「成程 異能力ですか」と云って頷いた。
「迅 異能力とは何だ?」
如何やら風間は異能を知らないようだ。
迅は「おれもあんまり知らないですよ」と苦笑いして云う。
「言葉だけなら聞いた事は有るが
都市伝説のような類だと思っていた」
風間の言葉に淳は『そうですか』と云い少し困ったように笑った。
『知ってもらうには本当は見せるのが一番手っ取り
早いのですけど・・・・・
私のは駄目ですからねぇ』
少し話し方が変わった気がして、敦の頬を冷や汗が伝った。
そんな敦の様子に気が付いていないのか、はたまた気にしていないだけなのか、淳はにこりと笑ったまま其処に立っている。
『そうだ』
彼女の瞳がキラキラと輝いた。
・・・其の表情は何処か太宰さんに似ていた。
淳の視線に敦は厭な予感しかしない。
『敦さんの能力なら一目瞭然でしょう
少しばかり虎になってもらえないでしょうか』
彼の厭は予感は的中した_____。
少し無言になった後、敦は叫ぶ。
「厭ですよ!逢って間もない人たちに見せるなんて!」
敦がキャンキャンと仔犬宜しく叫ぶ中風間は無言のままフリーズし、迅は心の中で荒波に向かって叫んだ。
まず虎になるって何!!?
プルプルと見悶える中、淳は『お願いします』と頭を下げる。
自分よりも幾分か細く儚い躰は小さく震えていた。
『・・・私の異能は人の心を破壊します
だからお願いです』
そんな淳の様子を見て敦の心がチクリと傷んだ。
「でも・・・・・」未だに答えが出せない敦に淳は『其れとも』と顔を上げて云う。
『敦さんが私の異能を体験してみます?』
ハイライトの無い彼女の瞳が怖くて、次の瞬間敦の両腕は虎の其れに変わっていた。
第二十一話 『敵を騙すなら__』→←第十九話 時は遡り___
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RAIN@元アラジンlove(プロフ) - ミリアさん» コメントありがとうございます。ワートリと文ストのクロスオーバーの話なら考えているのですが銀魂の方は大まかなストーリしか知っていないのでご期待に添えるかは分かりません。なかなか占ツクに顔を出す事が出来ませんがこれからも宜しくお願いします。 (2017年9月23日 18時) (レス) id: 5aca2d49f2 (このIDを非表示/違反報告)
ミリア - 凄く気に入った作品で大好きですもし今後他の作品を作る予定があったらワールドトリガーとコラボかトリップか転生した黒バスかアニメKか銀魂の銀時か高杉の姉か妹の作品が読んでみたいです説明が下手ならすみませんこれからも体調にきよつけてがんばてください。 (2017年9月23日 16時) (レス) id: 14f5017be6 (このIDを非表示/違反報告)
RAIN@元アラジンlove(プロフ) - ひかるさん» コメントありがとうございます。なかなか占ツクに浮上する事ができませんが更新頑張りたいと思います。 (2017年6月17日 22時) (レス) id: 5aca2d49f2 (このIDを非表示/違反報告)
ひかる - ウォォォ!続きが気になります。(>_<)更新頑張って下さい! (2017年6月17日 14時) (レス) id: c10de46325 (このIDを非表示/違反報告)
RAIN@元アラジンlove(プロフ) - ふにゃたさん» コメントありがとうございます。更新頑張りたいと思います。 (2017年4月3日 21時) (レス) id: 5aca2d49f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨雫 | 作成日時:2017年2月24日 23時