【文スト】常連客の事情【江戸川乱歩】

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人は苦手…昔からそうだったけど、あの人はたくさんの人を連れて喫茶店にきた。
無視してくれる訳もなく、「約束！」と言って手を差し出す。
そうなると逃げ場はなく皆の視線が集まる。




「へ、下手ですが…」




「乱歩さん、それなんです？」




オレンジ色の髪の女の子にくっつかれている男の子が質問する。名前、乱歩さんって言うんだ。




「この子の絵！気に入ったからァ、また見せてもらう約束してたの」




「へぇ、それは凄い」




包帯だらけの人が立ちあがり覗き込むと眼鏡の人にちょいちょい、と声をかける。
まるでその表情は欲しかったプレゼントを貰った子供のようだった。




「国木田君！この絵を見給え！私が男前に美しく描かれているではないか！しかもこの国木田の眼鏡のアングル…決まってる！」




本人はキリッと真剣に言ったようだが眼鏡さんには逆効果のようで首元を掴み、ブンブンと振り回していた。




「す、すみませんうるさくて…僕は中島敦です。で、あの眼鏡のお兄さんが国木田さん、振り回されている包帯の人が太宰さん」




わかりやすく簡単にまとめて紹介をしてくれて私の頭の中にもスっと、入ってくる。




「それでこの人はｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ」




「谷崎潤一郎だよ、こっちは妹のナオミ」




「よろしくお願いしますわ」




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