甘すぎます《紫》２ (ページ2)

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しげは何があったか詳しく聞こうとはしなかった。

ただ、隣を歩くだけ。

今日は荷物持ちもナシ。

「A」

『なに？』

足は止めることなく、しげは前を向いたままで私を呼んだ。

「お前があいつを好きでもええ。あん時も、全部受け止める覚悟で言うたんや。あいつのせいで泣くなら、俺んとこで泣け」

『…ありがとう』

「や、あの、こう…つまりやなぁ……お前が誰を好きでも受け止めるから、俺と付き合わんか？って言おうと思ったんやけど、」

しげはいつも優しくて、誰よりも私のことを分かってくれる。

代わりはいない存在。

しげを好きになれたら、すごく幸せだったと思う。

だけど、やっぱりずっと心に居るのは濵田先生。

先生以上に好きになれる人はこの先現れないかもしれない。

そう思うくらい、濵田先生が好き。

しげにありがとうと、ごめんねを言わないと。

そう思ってしげの方を見上げると、しげもこっちを見ていて

悲しそうで、優しい笑顔を浮かべていた。

「Aは変に優しいところあるからなぁ。あいつのこと好きなうちは断られるって分かっとる」

『……うん』

「せやからなんも言うな！」

『…分かった(笑)』

『てか、変に優しいってなんやねん』

「そのまんまや」

いつも通りの私たちだった。

やっぱりしげは私のことを一番分かってくれている。

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