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19話 ページ20

「しろや、しゃ」




自分でもびっくりするほど小刻みに震え、消えてしまいそうな声が出た。


私のことなんてもう忘れてしまったと思ってたのに。




彼は私の言葉に、困ったように眉を下げた。

「俺はもう白夜叉じゃねぇよ」









あの時と、全く同じことを彼は言った。

けれど、あの時苦しそうに白夜叉じゃないと呟いた彼はもうどこにもいなかった。









私を求めた白夜叉はもう、どこにもいなかった。

「そういえばお前、死のうとしてたの?」


「してないよ。ただちょっと橋から体乗り出して月を見てただけ」



でも、もしかしたら。

あの男に襲われることなくずっと月を見ていたら。

私は橋から身を投げ出して死ぬのも悪くないと思っていたのかもしれない。




「なぁ、お前なんで刀の一本も持ってないの?」

銀時は自分の木刀に目を向けながら言う。



真剣でなかったことに驚きを隠せなかったが、きっと彼も私と同じ。




斬って斬って、目の前の敵を殺して。

残ったのは罪悪感と虚無だけだとわかった時。



自分たちのしてきたことが本当に正しかったのか、わからなくなった。



だから私は剣を捨てたし、銀時も真剣など握らなくなった。

私たちはきっと、心の奥底、深いところで思っている。


何も守るもの無くして剣を振るいたくないと。

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- 最高です!胸がどきどきして止まらなかったです!泣きそうになりました。 (2023年1月8日 21時) (レス) @page28 id: 2bc0f45ebb (このIDを非表示/違反報告)
けんそう(プロフ) - kayaさん» そんな風に言ってもらえてとても嬉しいです!至らない点もあったかと思いますが、そう言ったコメントがとても励みになります。ありがとうございます! (2018年8月8日 8時) (レス) id: aaf4aecbc2 (このIDを非表示/違反報告)
kaya(プロフ) - なんだか読み終わった後、目頭があつくて、気づいたら涙が出ていました。文章が綺麗な素敵な作品だったと思います。 (2018年8月8日 0時) (レス) id: 504932b45f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:けんそう | 作成日時:2018年6月10日 21時

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