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17話 ページ18

江戸は、思っていたよりも綺麗に月が見えた。



灯りが多い都市では綺麗な空は見えないと聞いたことがあったけれど、江戸の夜空は文句なしの満点だった。


昼間、銀時とすれ違ったあの大きな橋に私はいた。



この時間なら銀時と会うこともないだろうと思ったからだ。





それは家族が、大切な人がいるなら尚更で。



私は橋の手すりに手をかけて身を乗り出した。
夜の冷たい風が気持ちいい。


つま先を上げ、橋の手すりから身を出して目一杯手を伸ばす。


なんだか、あの大きな月が掴める気がしたからだ。









「なァ、お姉さん。

こんな夜更けにどんなご用だい。」


少し嗄れた声、カチリと鞘と剣がぶつかる音が聞こえた。




「そんなに橋から身を出して、もしかして死のうとしてたのかい?


だったら俺が楽に斬ってやるよ。

生憎俺も久しく人を斬ってなくてな。
体が欲してんだよ、あんたみたいな若い子の血を」


首に突きつけられたのは切れ味の良さそうな日本刀。



攘夷浪士。
攘夷戦争が終わった今もなお天人を忌み嫌い、廃刀令に背いて刀を振るう。



江戸にはそんな輩が多くいると聞いてはいたが、まさかこんな闇夜でばったり会ってしまうとは。




「私、もうそんなに若くないけど」




苦し紛れの時間稼ぎだとはわかっているが、震える手をぎゅっと握りしめてそう言った。



生憎今の私は刀一つ持っていない。

攘夷戦争後、刀を捨てた私は実質10年ほど戦いとは無縁の生活をしてきた。



もとより剣術も大した腕があったわけでもない。

おまけに、見知らぬ攘夷浪士に背後を取られてしまった。


力で相手を押し任そうなんて、無理な話だった。

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- 最高です!胸がどきどきして止まらなかったです!泣きそうになりました。 (2023年1月8日 21時) (レス) @page28 id: 2bc0f45ebb (このIDを非表示/違反報告)
けんそう(プロフ) - kayaさん» そんな風に言ってもらえてとても嬉しいです!至らない点もあったかと思いますが、そう言ったコメントがとても励みになります。ありがとうございます! (2018年8月8日 8時) (レス) id: aaf4aecbc2 (このIDを非表示/違反報告)
kaya(プロフ) - なんだか読み終わった後、目頭があつくて、気づいたら涙が出ていました。文章が綺麗な素敵な作品だったと思います。 (2018年8月8日 0時) (レス) id: 504932b45f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:けんそう | 作成日時:2018年6月10日 21時

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