11話 ページ12
新選組が、何故隊を組んで戦うのか。
何故、
私は、分かっていなかった。
目の前には、先刻私が握っていたはずの刀。
深々と地面に刺さっている。
左足が酷く痛む。
立っていることはできるけれど、歩くこと、ましてや相手と一戦交えることなど不可能に等しい。
簡潔に言えば、私は目の前の男に負けているのだ。
「新選組の女隊士さんよ。
あんたは強ぇよ。
女にしては、な。」
私は、相手に女だと舐められた事に腹を立て、それしか見えなくなっていた。
私たち新選組が隊を組んで戦う理由は、隊士を一人で戦わせない為なのに。
今の私のような事態が起こることを、未然に防ぐ為なのに。
新選組の作戦は大方成功していた。
今頃は、他の隊が頭以外の構成員を一掃しているところだろう。
だからこそここには頭の他の浪士はいないし、一番隊と頭の二つの勢力がぶつかることができる。
残念な事に、ここにいるのは頭と、一人で突っ走った愚かな副隊長しかいないのだが。
私一人の行動で、新選組の作戦は失敗に終わる。
頭が生き残り、頭と対峙した一番隊副隊長は死亡。
新選組の顔に泥を塗る、最悪の展開。
いっそのこと、早く殺して欲しかった。
なのに、そいつは颯爽と現れた。
「あんたは弱ぇよ。
男にしては、な。」
飛び散る鮮血。
仰向けに倒れて動かない頭の体。
初太刀で男を始末した総悟の顔を、私は見ることができなかった。
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作者名:けんそう | 作成日時:2018年5月11日 7時