31話 ページ32
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「俺はお前に惚れてんだよ。
10年前から、今日までずっとな。」
それを聞いたAは驚いた顔をしていた。
それを聞いたそいつは俺に何かを伝えたそうに口を動かした。
けれど、気持ちが言葉となり、音となって発せられる前にそいつの体は透明になっていった。
掴んだ筈のそいつの腕は霧のように消えていった。
一瞬のうちに体全てが透け、まるで蒸発する液体のようにAはふわりと消えていった。
あまりにもそれが現実味がなくて、夢なのではないかとさえ思う。
けれど、音にならなくとも。
そいつの動かした口の形で、Aが何を伝えたいのか分かってしまった。
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「ありがとう」
Aは最後にそう言って消えて行った。
俺の伝えたかった事は、どうやら伝わったらしい。
この言葉はもう少し早く言えていれば何か変わっただろうか。
「変わんねぇな。」
炎天下夏の昼下がり。
俺は薄暗い路地裏を後にした。
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凛 - とても良かったです! (2022年12月20日 19時) (レス) @page36 id: 0db889cc25 (このIDを非表示/違反報告)
けんそう(プロフ) - 岩長漆@三色団子と朧大事さん» ありがとうございます!そういったコメントが一番の励みになります!今後も皆さんにお話を届けられるよう頑張ります! (2018年6月11日 8時) (レス) id: aaf4aecbc2 (このIDを非表示/違反報告)
岩長漆@三色団子と朧大事(プロフ) - 突然失礼いたします、岩長と申します!けんそう様の作品読ませて頂き、とても感動しました!次作の方も頑張ってください!応援しております! (2018年6月10日 22時) (レス) id: c1dc633bc5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:けんそう | 作成日時:2018年2月10日 20時