22話 ページ23
「未練がましい話をするのは恥ずかしいけど、私は別に今年の夏始めて
毎年毎年、未練がましい私はこうやってかぶき町にいた。
あの時私は、自分の命も投げ出す覚悟で戦争に行ったのにね。
私の体はいつまでも16歳のままだけど、銀時はどんどん大きくなってった。
もし、生きてたら、隣に並べたかな。」
俺はこいつの言動が大人びていると先刻感じたが、やはりこいつはまだ子供のような気がした。
「でも、どうしようもないの。
私はもう既に死んだ人間で、銀時はまだ生きてる。
そこには深い溝があって、絶対に超えられない。
それはわかってた。
分かってて
だから、銀時が幸せそうで良かった。
ちゃんと帰るべき家があって、一緒に笑いあえる仲間がいて。
万事屋、だっけ。
あそこにいる女の子と男の子も笑ってた。
だから、安心したの。
銀時が幸せそうで、本当に良かった。」
ちくり、と胸が痛んだ。
悲しそうに久しぶりと告げた彼女は、俺が幸せで良かったと言った。
じゃあもし、俺が幸せだと仮定して。
Aは、幸せだろうか。
「お前は、それで本当にいいのかよ。
残された方は、つらくて悲しいんじゃないのかよ。」
家と家に挟まれた、路地裏、と言うよりは小道。
薄裏く、僅かな光が頼りのその場所で、消えるような声でAは言った。
「そうだね。
私、あの世に一人取り残されちゃった。」
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凛 - とても良かったです! (2022年12月20日 19時) (レス) @page36 id: 0db889cc25 (このIDを非表示/違反報告)
けんそう(プロフ) - 岩長漆@三色団子と朧大事さん» ありがとうございます!そういったコメントが一番の励みになります!今後も皆さんにお話を届けられるよう頑張ります! (2018年6月11日 8時) (レス) id: aaf4aecbc2 (このIDを非表示/違反報告)
岩長漆@三色団子と朧大事(プロフ) - 突然失礼いたします、岩長と申します!けんそう様の作品読ませて頂き、とても感動しました!次作の方も頑張ってください!応援しております! (2018年6月10日 22時) (レス) id: c1dc633bc5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:けんそう | 作成日時:2018年2月10日 20時