21話 ページ22
「あ、また会いましたね、坂田さん。
それに、やっと私のこと名前で呼んでくれました。」
あれからどれぐらい走っただろうか。
女は、薄暗い路地裏にいた。
「俺がお前のこと名前で呼んだんだからよ。
お前も、もうその演技をやめたらどうなんだ。」
そう言えば、女は口角を上げて笑った。
けれどそれは、今にも綻んでしまいそうな、悲しげな笑顔。
哀愁漂うその表情は、久しぶりだと言ったあの時の顔にそっくりだ。
「久しぶりだね。
...銀時。
10年ぶりだ。」
Aはふふっと笑う。
「最初は信じられなかったでしょ?
銀時の動揺が凄い伝わってきた。
__でも、それが普通。
死んだ女が急に目の前に現れたんだもんね。
世間では私みたいな存在のこと、幽霊って言うんだろうね。
私は今息をしてない。
確かに一度死んだんだから。」
ほら、とでも言うようにAは己の胸に手を当てた。
「じゃあそんな幽霊さんはなんで今俺の前にいるんだ?
やり残した事でもあったか?」
姿は死んだ時と同じ、16そこら。
なのにそいつの言動は以前よりも大人びていて。
「うん。
やり残したこと、見つけちゃった。」
くしゃっと笑うAの顔を見るたび、一番思い出したくなかった事を思い出してしまう。
__俺は、Aが好きだった、と。
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凛 - とても良かったです! (2022年12月20日 19時) (レス) @page36 id: 0db889cc25 (このIDを非表示/違反報告)
けんそう(プロフ) - 岩長漆@三色団子と朧大事さん» ありがとうございます!そういったコメントが一番の励みになります!今後も皆さんにお話を届けられるよう頑張ります! (2018年6月11日 8時) (レス) id: aaf4aecbc2 (このIDを非表示/違反報告)
岩長漆@三色団子と朧大事(プロフ) - 突然失礼いたします、岩長と申します!けんそう様の作品読ませて頂き、とても感動しました!次作の方も頑張ってください!応援しております! (2018年6月10日 22時) (レス) id: c1dc633bc5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:けんそう | 作成日時:2018年2月10日 20時