18話 ページ19
女とアイスを食べた帰り、俺は考えた。
けれど、考えれば考えるほど、頭が痛くなる。
俺は幻影を見ているのだろうか、と。
数日過ごして痛いほどにわかってしまったのだ。
あの日、墓場であった女がAとに過ぎている事が。
Aと瓜二つの容貌。
喋り方、仕草。
その女のみかけの年齢が、Aが死んだ時と同じくらいなのも引っかかる。
そう考えれば、昔彼女にアイスを一口くれたと言う“お父さん“だとか、
夏が好きだと言うところだとか。
全てがAと重なって見えた。
けれど、Aは確かにあの日死んだのだ。
あの出血量ではまず助からないし、第1Aを見つけた人がいたとしても、攘夷戦争が行われたあの荒野に病院などはない。
俺はAに別れを告げたし、Aも俺にじゃあねと言った。
「わかんねぇよ。」
率直な気持ちだった。
俺は分からないのだ。
あの女はAとはなんの関係もない赤の他人なのか。
だからこそ、今でもそいつのことはAとは呼べないし、どこか距離を置いてしまう。
そんな状況の中、その女が寂しげな顔で久しぶりに話せて楽しかった、などと言うものだから参ってしまう。
「死んだはずの女が10年ぶりに現れるなんざ__」
俺はふうっと溜息を吐いた。
今日も相変わらずの晴天に、なんだか考えること全てが馬鹿馬鹿しく思えた。
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凛 - とても良かったです! (2022年12月20日 19時) (レス) @page36 id: 0db889cc25 (このIDを非表示/違反報告)
けんそう(プロフ) - 岩長漆@三色団子と朧大事さん» ありがとうございます!そういったコメントが一番の励みになります!今後も皆さんにお話を届けられるよう頑張ります! (2018年6月11日 8時) (レス) id: aaf4aecbc2 (このIDを非表示/違反報告)
岩長漆@三色団子と朧大事(プロフ) - 突然失礼いたします、岩長と申します!けんそう様の作品読ませて頂き、とても感動しました!次作の方も頑張ってください!応援しております! (2018年6月10日 22時) (レス) id: c1dc633bc5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:けんそう | 作成日時:2018年2月10日 20時