episode126＿＿戦慄 ページ30
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勝ち越しを決めたチームＷは防御一択で攻めの様子を見せず、全員がDFに徹していた。後半も残すところ
「潔！こっち戻せ！奪られる奪られる！」
前後で挟まれた状況を不利に思ったイガグリがパスを要求するけれど、世一はそれを無視。鰐間兄弟からの強行突破を試みた。一か八かで勝負に出たんだ。
今の世一には、味方の声が聞こえていない。世一が単独で動いたことで一瞬相手の意表を突いたけれど、すぐさま立て直した鰐間兄にボールを取られてしまった。
「世一！」
入場口から思わず叫んでしまう。
鰐間に足元をすくわれた世一が、バランスを崩して顔から転けてしまったから。ここからの距離でもかなり鈍い音がした。心配になったから駆け出そうとしたけど、すぐに立ち上がって また走り出した世一を見て、私は踏みとどまった。
「俺が決める、俺が！」
「(……今の私は、きっと邪魔になる)」
気を散らせてしまうとか、そんなんじゃない。ただの直感だった。あんなに熱くボールを追いかける世一を見るのは、久しぶりだ。
仲間の制止を振りきって何度転んでも立ち上がって、ボールに食らい続ける。鬼気迫るその姿にチームＷも動揺してる。
「ぼーっとすんな千切!!」
競り合いでこぼれたボール。その先にはフィールドの端で佇む千切がいた。そんな彼に向かって「拾え」と世一が叫ぶ。反射的に左足でトラップした千切だけど、石化したように固まったままそこから動かなかった。やっぱり、右足を気にしてる。
──その時だった。
「退け!!」
「……よい、ち」
世一が、千切の肩を掴んで後ろに突き飛ばした。
倒れる千切に見向きもしないで、ボールを奪っていった。一瞬見せた圧力と、苛立ちと怒りを混ぜたような声に、関係の無い私にまで 薄い刃物で背を撫でられるような戦慄が走った。ゾクッとした 恐ろしさだ。
「パス回せ潔！……おい!? 聞いてんのか!?」
今村の切羽詰まった声が耳の中に入り込んで張りつく。それでも世一はパスを出さなかった。
「(今のは、本当に世一なの？)」
私の知らない世一が、牙を向いてフィールドを縦横無尽に駆け回ってる。映像からでは決して感じられない気迫と執念が、
世一がどんどん遠くへ離れていくような気がして怖いはずなのに、嫌なはずなのに、私はそのプレーに魅了されていた。
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はもに(プロフ) - かっぱさん» かっぱさん、はじめまして！励みのコメントありがとうございます。一番なんてお言葉頂けて感無量です、、❕これからもご期待に添えられますよう頑張りますᵕ̈* (2023年2月20日 0時) (
レス) id: ad43313898 (このIDを非表示/違反報告)
かっぱ - このお話本当に大好きで、一番気にいってます♡これからも応援してますね!! (2023年2月19日 21時) (レス) @page49 id: 3275caf583 (このIDを非表示/違反報告)
はもに(プロフ) - 七子さん» 七子ちゃん、感想投げてくれてありがとう❕ ちょっとドギマギの三角関係ではあるけれど、話の落とし所はちゃんと決めてるので見守ってもらえると嬉しいᵕ̈* いつも応援してくれて励みもらってます！これからもよろしくね❣️ (2023年2月17日 0時) (レス) id: ad43313898 (このIDを非表示/違反報告)
七子(プロフ) - 潔が好き⁈⁈⁈そんなの…そんなのあんまりよ‼︎二次創作でレオと存分にイチャつかせてやるんだから（現実逃避） (2023年2月15日 21時) (レス) @page35 id: 749c6d74de (このIDを非表示/違反報告)
はもに(プロフ) - 凛香奈さん» 凛香奈さん、初めまして！繰り返し読んでいただけてるという事実に感極まってしまいました🥲ここ最近更新の時間帯が不定期ですが、引き続き頑張っていきたいと思います！応援ありがとうございます🙇♂️とても励みになりました！ (2023年2月13日 0時) (レス) id: ad43313898 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はもに | 作成日時：2023年2月7日 18時
