97話 ページ8
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試合準備するかーと、自身の控え室へ向かう途中。
恐らくトイレ休憩を終え、雑談でもしているのであろうヒーロー達の声が聞こえた。
「次の試合の雷風さん？
あの子元NO.3ヒーロー サンダーの娘だってよ」
「まじ？！
てかサンダーってウインディーと結婚してなかった？」
「へー！じゃああの2人の娘ってことかよ」
思わず、足を止める。いや、止まったと言った方が正しい。
「でもよー、サンダーって確かたった1人のヴィランにやられて結構前に死んでただろ」
「なんか、NO.3っつてもその程度なんだなって感じだよな」
ぎゅうっと手を握る。
強く握りすぎて手の色は白くなっていた。
「しかも、ウインディーに関しては今意識不明の重体で入院じゃなかったっけ？」
「あー、なんか昔ニュースでやってたな」
「で、結局そのヴィランは捕らえられてないんだろ？」
「げ。まじぃ？無駄死にじゃん」
やめろよ。
お父さんとお母さんをそんな風に言うな。
「次の試合その子が勝てばエンデヴァーの息子とだよな？」
「元NO.3と現NO.2で既に親が負けてんのに子どもが勝てるわけねえだろ。
次勝ってもその次で負けるのは目に見えてんじゃん」
「お前、結構言うなー」
ゲラゲラと笑うその人たちの声が遠のいていく。
ああ、挑発には乗るな。煽りにも乗るな。
冷静でいろ。常に、落ち着いていろ。
リカバリーガールに治してもらい、控え室から出てきたデクくんと鉢合わせる。
「Aちゃん、次だね！頑張って！」
『あ、うん。デクくんもお疲れ様』
「……？？？う、うん……」
大丈夫、私は落ち着けてる。
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作者名：オクラ | 作成日時：2019年7月12日 8時
