轟くんは仲間 (ページ18)

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107話ページ18

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轟 side

『どうぞー』

「……お邪魔します」

柄にもなく、少し緊張する。

こういう面に関しては、雷風の抱えているモノはかなりデリケートなことだ。

病室へ足を進めると、ベッドに一人の女性が寝ていた。

顔は穏やかで、どことなく雷風に似ている。

『お母さん、雄英でできたお友達の轟焦凍くん。
体育祭2位だったんだよ。すっごく強いの』

「…………」

黙って雷風の隣に腰掛ける。

「……似てんな」

『？……そう？』

口元のホクロなんかがそっくりだ。

あと、目元。

でも髪色は雷風のよりもいくらか深い、濃い緑色。

『お母さんのね、脳自体はもう正常な状態に戻りつつあるんだって』

「！」

『事件当初は植物状態だったんだけど、奇跡的に脳が回復してきて。

雄英高校入学の報告をしに来た時に、私の手をちょっとだけ握ったの』

黙って雷風の方を見ながら話を聞く。

『意識はずっと戻らないんだけどね。
いつ戻っても、おかしくはないみたい。

…………………………轟くん…………』

少しの間を空けて雷風が俺の名前を呼ぶ。

母親の顔を見ながら話していた雷風はゆっくりと、震えながら顔を上げた。

目に少し、涙をためて。

『お母さん、いつ、目覚めるかな＿＿＿＿＿？』

普段、笑顔でいるコイツの初めて見る涙を俺は親指で拭ってやることしかできなかった。

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