ゴワ ページ5
教室中がザワザワする。
タバコ、なんて。
このE組でタバコを持ってる人なんて居ないはず。
少なくとも僕が知ってる半数以上のクラスメイトは持っていない。
「庵崎?」
庵崎さんって言うのかな。
「にゅ……?」
先生二人の顔が見るからに曇っていってる。
「タバコ、持ってます」
「見ました」
庵崎さんはただ淡々と言葉を紡ぐ。
先生たちは僕らに振り返って困ったような顔をした。
「まさか、みなさん……」
「タバコなんて持ってないよ!せんせー!」
「そうだよ!」
みんなは必死に抗議する。
「おい庵崎、タバコは本当か……」
いない。
さっきまで烏間先生の隣で立ち尽くしてた庵崎さんが。
「あいつ……!」
「先生が行ってきます。皆さんは自習していて下さい」
「おい、俺も」
「烏間先生はここで待っていて下さい」
すぐに戻ってきますから。
殺せんせーはそう言ってマッハで教室を出て行った。
「怒ってたね」
茅野は困った顔をした。
それにしても、何でタバコなんて嘘ついたんだろう。
僕たちの信頼を失くそうとした?
そんなに僕たちが嫌い?
でも、初めて会った人だし。
ああもう、分からない。
本当に、不思議な人だなぁ。
「庵崎さん、か……」
「??何か言った?渚」
「ううん、何でもない」
気になるなぁ、仲良くしたい。
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作者名:リン | 作成日時:2018年2月15日 7時