【ツイステ】幼子、迷い子、どこへ行く (ページ5)

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ep.3 ページ5

少しだけそんな光景を見ていると、私を立たせてくれた男の人がにこりと笑って私と目線を同じくらいにしてしゃがんだ。

ユ｢ねぇ、君。お名前は？俺は、ユウって言うんだ。君はここのこと知ってる？俺、何だかよく分からないままここに居てさ｣

貴｢あ、えっと……。私もよく分からなくて、名前はそのAです｣

ユ｢そっか、Aちゃんね。うーん、じゃあ俺たち同じだね。兎に角、ここが何処なのか知らないと。……ほいっと｣

そう言い、ユウ様は私のことをひょいっと抱きかかえてしまった。

貴｢えっ、あ、あの……！重いので降ろしてくださいっ｣

ユ｢大丈夫だよ、全然重くないし寧ろ凄い軽くて驚いたよ。……そういえば、Aちゃんのその体の包帯って怪我してるの？｣

貴｢っ！い、え……。お気になさらず｣

そう、恐る恐る返事をする。これは、私のお母様とお父様に付けられたもの。醜いと罵り、殴られた痕を隠すために巻いているのだ。

……やはりこの人も、お母様たちのように私に"愛"を与えてくるのだろうか。そんなことを思いながら静かに目を伏せる。

すると、いつの間にかグリム様を縛り付けていた男の人が少しだけ喋っていた私たちにクルリと振り向いて話しかけて来る。

？｢さあさあ、お二人共とっくに入学式は始まっていますよ。鏡の間へ行きましょう｣

ユ｢あ、あのすみません。僕たちのことをさっきから新入生って言ってますけど……？｣

？｢貴方たちが目覚めたたくさんの扉が並んでいた部屋ですよ。この学園へ入学する生徒は、全てあの扉をくぐってこの学園へやってくるのです｣

そう言いながら、ジーッと私とユウ様のことを見てくる目の前の男の人。

？｢通常、特殊な鍵で扉を開くまで生徒は目覚めないはずなんですが……｣

ユ｢あの大量の棺は、扉だったんだ……｣

？｢それまでの世界に別れを告げ、新しく生まれ変わる。あの扉の意匠にはそんな思いが込められているのです｣

そう、あの棺のようなことを男の人が説明しているとハッと何かを思い出したようにコチラを見てきた。

？｢……おっと！長話をしている場合ではありませんでした。早くしないと入学式が終わってしまう。さあさあ、行きますよ｣

そう言うが、ユウ様がなにか聞きたいのか目の前の方に話しかけた。

ユ｢その前に、ここは一体どこなんですか？｣