☆ ページ28
ゾムside
殲滅が終わり、奥の部屋に戻った時、ロボロが慌て始める。
何かと思っていたら、胸ポケットで何かが割れた音がする。胸ポケットに入れていたキーホルダーや。
リンに何かあった。
俺は衝動的に走り出していた。パッヘルベル家に向かう道をひたすらに走る。くっそ、これじゃ埒あかへん。
自分の身体能力をフル活用して木々を飛び移る。
でかい通りで何度も人に見られたが、そんなのですら気にならん。ただならない嫌な予感が俺の胸を焦らせていく。
やっぱり、おかしかった。あの時呼び止めていたら、何かが変わっていたかもしれない。
過去の俺を今だけ恨むで。
微かに、煙の匂いがする。それに混じる血の臭いに、肉が焼ける臭い。
どれも、気分が悪くなるような最悪な臭い。
遠くの空が橙色に染まっとった。あの場所は、パッヘルベル家の屋敷。
頼む、間に合え、間に合ってくれ。
そんな願いも虚しく…屋敷の全貌が見えた瞬間……
「…っ、うそ、やん………っ!?」
爆発と共に、屋敷が崩れていく。周りには野次馬が集まっていた。
野次馬が一際集まっている場所に向かう。
人の間から見えたのは、俺が守らないといけない奴やった。
「…っリン……!!」
人を掻き分け、レイヴィスと呼ばれていた男と共に意識を失っているリンのそばに駆け寄る。
2人ともかなりの出血をしていて、呼吸音も浅い。
「おいっ!誰か医者呼んだか!!」
「…よ、呼んでない……」
「…チッ……この無能共…っ」
そんな暴言を吐き捨てながら、急いで医者を呼ぶ。余裕が無かった。
「…何が、守ったるや……俺の方が、よっぽど無能やんけ…」
リンとレイヴィスさんの脈を確認し続けているうちに、医者が到着する。2人は国央病院に運ばれて行った。
俺は、何も出来ない無力さに拳を握ることしか出来んかった。
「…ゾムゥゥ……っ!!!」
遠くでロボロの声が聞こえた。
「…ロボ、ロ」
俺、守れんかった…何が、親友や……
「…俺は…っ、俺…俺がぁ、……っ」
「落ち着かんかい!!」
肩を思いっきり叩かれ、ハッとした。
「…お前のせいちゃうわ……お前だけの責任ちゃうねん…俺ら全員が、気づけんかった…」
ロボロの後ろから、生徒会のヤツらが走ってきてるのが見えた。各々が色んな思いを抱えてるんやろな…
「…リンは、どうした」
「……病院に運ばれてったで。まだ、生きとる」
割れたキーホルダーが入っている胸ポケットを握りしめた。
頼むから、生きとって……
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クロスてゃん - ありがとうございますぅぅぅ!アルネの事件簿と気づいてガチ泣きしました…本当に嬉しいです更新頑張ってくださいね! (2021年11月23日 23時) (レス) id: c934f9389d (このIDを非表示/違反報告)
??? - この小説なんなん? まじ泣きしてしまうわ (2021年10月3日 20時) (レス) @page27 id: 2651f7c57d (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - この使用人たちの名前。主人公の名前。家が大火事。………おっとぉ??? (2020年9月6日 23時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - もし違ったら失礼なのですが。この小説の使用人たちの名前って、某超絶イケメンの最凶の吸血鬼エビリィ!ブラッティ!ノインテーター!!のお方とあの触覚が愛らしい吸血鬼マニアちゃんとその他いっぱいの人気推理ゲームじゃないすかぁ!何ですかこれ、素敵です!! (2020年9月6日 23時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
理那(プロフ) - そうだ、名前変換で気付かなかったんだ。この主役、"リン"ちゃんだ。 (2020年8月2日 18時) (レス) id: db0db57d74 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:彼岸桜+α | 作者ホームページ:http://uranai
作成日時:2020年4月2日 10時