18話 公爵家襲撃事件 ページ26
リンside
家に帰ればいつもより騒がしい。帰った事を報告した後、私も準備に取り掛かった。
今までのお母様との訓練では模擬剣を使っていたけど、私が渡されたのは正真正銘の真剣。
確実に、無事では済まない。
心が痛いような感覚に苛まれるが、そんな事でわがままを言っていられるほどの状況ではない。
パッヘルベル家を、自分を守る為に、剣を振るわなければならない。
「…お母様……わ、たし…」
「…リンなら大丈夫よ。だって、私とエスカ様の娘よ?」
大剣を肩に担ぎ、いつものような凛々しい笑顔で私の頭を撫でるお母様が指さした先には、小銃を構え、遠くにある窓に当てるお父様の姿。
撃った玉は正確に的の中心を貫いていた。
「お嬢様不安がってるんですか〜?」
ナイフを両手に持ってふふっと笑っているディアナ。近距離でディアナに勝てる人を私は見た事がなかった。
「…きっと、大丈夫ですよ。また笑える日が来ますから」
そう言った、ディアナは私の前で倒れている。
屋敷の中は炎に包まれて、行き先は限られていた。
「ディアナしっかりしてよ!」
「…お嬢様、早く行かなきゃダメでしょ…?私達のことを、無駄に……」
煙も吸い込んでしまったディアナは苦しそうに、必死に呼吸を繰り返していた。
震える手で剣を持ち、私は屋敷の外へと向かった。
…やっぱり、嘘だった。そもそも、もう少し警戒するべきだったのよ……あとほんの少し、ほんの少しでよかったのに……
キャルベッス家から来た手紙は、結局は嘘だった。
暗殺者って言われてる人達が、午後6時に80人ほど現れた。
量より質とは言え、一時の数の暴力に耐えることが出来ず…
煙を吸わないように、口を抑えて移動する。服はボロボロになり、僅かな切り傷から血が垂れていた。
どうしてこうなったんだろう。
やっぱり、生徒会と関わらなければよかった、だなんて……
「…お嬢……っ!!」
「…レイ、ヴィス……」
レイヴィスに手を引かれ、走らされる。お父様も、お母様もどうなったのか分からない。
ただただ、走ることしか出来なかった。
後ろから近づいてくる足音に気づき、レイヴィスに呼びかける。
「…ここは、お任せ下さい。お嬢、走って!」
「…嫌よ、そんなの、フラグでしかないわ。私も一緒に戦う。…大丈夫よ、負けたりなんかしない」
廊下で囲まれる。レイヴィスに背中を預け、それぞれが戦い出す。
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クロスてゃん - ありがとうございますぅぅぅ!アルネの事件簿と気づいてガチ泣きしました…本当に嬉しいです更新頑張ってくださいね! (2021年11月23日 23時) (レス) id: c934f9389d (このIDを非表示/違反報告)
??? - この小説なんなん? まじ泣きしてしまうわ (2021年10月3日 20時) (レス) @page27 id: 2651f7c57d (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - この使用人たちの名前。主人公の名前。家が大火事。………おっとぉ??? (2020年9月6日 23時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - もし違ったら失礼なのですが。この小説の使用人たちの名前って、某超絶イケメンの最凶の吸血鬼エビリィ!ブラッティ!ノインテーター!!のお方とあの触覚が愛らしい吸血鬼マニアちゃんとその他いっぱいの人気推理ゲームじゃないすかぁ!何ですかこれ、素敵です!! (2020年9月6日 23時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
理那(プロフ) - そうだ、名前変換で気付かなかったんだ。この主役、"リン"ちゃんだ。 (2020年8月2日 18時) (レス) id: db0db57d74 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:彼岸桜+α | 作者ホームページ:http://uranai
作成日時:2020年4月2日 10時