☆ ページ14
「…いえ」
どうしてだろうか、それしか言葉が出てこなかった。ありえないと言わんばかりのコネシマ様。
オスマン様は何かを思い詰めているように俯いていた。
問題があるのは、ノエルだけじゃない。
「…私は、自分の為に動いただけですので」
「リンさん」
Nakamu様に呼ばれ、そちらを向いたその時、暖かいものに包まれる。
Nakamu様の腕の中にいた。驚きの声が聞こえる中、Nakamu様は私に言う。
「…やっぱり、見てられない……」
腕の力が強くなる。
「リンさん、俺の所に来てよ…ワイテルズ国で一緒に……」
Nakamu様の声は震えていた。これにまた、心が揺らぐ。思わず出かけてしまったYesの言葉を飲み込む。
「…Nakamu様……私は…」
Nakamu様の胸を優しく押す。彼の表情は分かっていたけど少し傷ついた様な顔。
「…1人で決めるには、事が大きすぎます」
「…そうだね、ごめん急かす様なことして…でも、俺は…俺たちは待ってるからね」
そう言ってスタスタとホールへと戻って行ってしまった。
それに続いて行くワイテルズ国の方々。broooock様が1度私のところに来る。
「…本当に、ありがとうね。リンが来てくれたら俺も嬉しいから」
去っていった方を見つめるしかできなかった。
ワイテルズ国の人達は、私を必要としてくれるのね…
「リン、どういう事や…?」
ゾムが私より混乱した様子で私の肩を掴んできた。いたたた…
言わないでおこうと、思ったんだけどね……
「…婚約を提案されたの、Nakamu様に」
「…リンは……行ってまうんか」
「ううん、まだ決められないの。この婚約ひとつで色々と変わることが多いから……」
自分の好きにすればええ、とゾムは言ってくれた。その言葉だけでも私は十二分に救われる。
「…ごめん、私今日は帰るわ。色々あって疲れてしまったみたい……」
呼び止める声が聞こえたが、無視して門を出る。私の後に続いてレイヴィスが出てくる。
「お嬢、迎えが来るまで時間がありますが如何なさいますか?」
「…ここで待つわ、少し考えたいことがあるの……聞いてくれるかしら」
門を出て直ぐにしゃがんだ。
フェンス越しにみんなが見ているのがわかる。
本当に、色々あった日ね…早く気を立て直さないと……
パッヘルベル家の人間たる者、直ぐに立て直せないとやってられないわ。
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今更ですが、ユーザーランキング1位ありがとうございます!
快挙です!
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クロスてゃん - ありがとうございますぅぅぅ!アルネの事件簿と気づいてガチ泣きしました…本当に嬉しいです更新頑張ってくださいね! (2021年11月23日 23時) (レス) id: c934f9389d (このIDを非表示/違反報告)
??? - この小説なんなん? まじ泣きしてしまうわ (2021年10月3日 20時) (レス) @page27 id: 2651f7c57d (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - この使用人たちの名前。主人公の名前。家が大火事。………おっとぉ??? (2020年9月6日 23時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - もし違ったら失礼なのですが。この小説の使用人たちの名前って、某超絶イケメンの最凶の吸血鬼エビリィ!ブラッティ!ノインテーター!!のお方とあの触覚が愛らしい吸血鬼マニアちゃんとその他いっぱいの人気推理ゲームじゃないすかぁ!何ですかこれ、素敵です!! (2020年9月6日 23時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
理那(プロフ) - そうだ、名前変換で気付かなかったんだ。この主役、"リン"ちゃんだ。 (2020年8月2日 18時) (レス) id: db0db57d74 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:彼岸桜+α | 作者ホームページ:http://uranai
作成日時:2020年4月2日 10時