☆ ページ32
家が近くて良かった、と何回目かの思考。
俺は家に帰り使用人達にリン･パッヘルベルを預けた。
黙って家に置いとくのも良くないし、連絡せなアカンな。
俺はショッピ君の家に電話をした。出たのはメルヘット家の使用人の人、名前を伝えショッピ君を呼んでもらった。
『…はい、ショッピっす。どうかしました？』
｢ショッピ君、パッヘルベル家の人に連絡取れるか？｣
『取れますけど…』
｢リン･パッヘルベルをベサリオニス家で預かっていると伝えて欲しいねん｣
『姉様が…？どういう事っすかそれ』
｢旧校舎で閉じ込められてて、低体温症で倒れてた。今、医者に見てもらってん｣
ショッピ君が連絡します、と電話を切る。
｢トントン様｣
｢どうや？｣
｢呼吸も徐々に落ち着いてきました。暫くすれば意識も戻るでしょう｣
医者の後について行ってみればしっかりとした呼吸で眠るリン･パッヘルベルの姿。
…ホンマに、コイツがノエルを虐めとるんか？
穏やかに眠る姿からはそんな事想像も出来んかった。…まぁ、人は見た目じゃないって言うからな。まだ、わからん。
1時間ほど経った頃、遅い時間に来客だ、と使用人が、騒ぎ出す。
｢…パッヘルベル、公爵…？｣
ドアの外から父の戸惑った声。まさか、公爵直々に迎えに来たって事か？
こちらです、と案内する声が聞こえる。
ドアが開くと同時に部屋の奴らはみんな頭を下げる。
会釈をした公爵はリン･パッヘルベルに近付き、眠る頭に手を乗せていた。その目は慈愛に満ちていた。
｢…トントン君とはどちらかね？｣
｢はい、私です｣
この方が、貴族界の最高権力者。
エスカ･パッヘルベル…何とも言い難い威厳を感じながら丁寧に会釈をする。
｢…ありがとう。君のおかげで娘の命は救われた｣
｢いえ、そんな大袈裟な…｣
｢…リンは何かと、狙われる事が多くてね……パッヘルベル家に生まれた以上、通らねばならない道だとはいえ…
幼い頃から、苦労をさせてしまっている｣
強く育ってくれたよ、とエスカ公爵が言った。
｢トントン君、君には感謝してもしきれないかもしれないな｣
フッと笑った顔はリン･パッヘルベルの面影が見えた。父に似たんだな…とふと思った。
｢…ゔ…っ……んん｣
ベットからうめき声が聞こえ、医者が駆け寄って確認を始めた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1517人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
こんにちは - 騙されましたほんとにめっちゃびっくりしました (2023年1月9日 0時) (
レス) @page47 id: 01cd7b0a2a (このIDを非表示/違反報告)
Nikotya* - 最後のやつ見事に騙されました(・ω・｀) (2021年8月11日 10時) (レス) id: 19e8c2f272 (このIDを非表示/違反報告)
とぅめぃとぅ - クリーパーとメルヘットとメンツーユはダメですってwwww (2021年5月30日 22時) (レス) id: fb32157b21 (このIDを非表示/違反報告)
木材(もくざい)(プロフ) - 文章の書き方がとても美しいです...感情ののせかたがとても上手で初めのこねしまさんに髪を捕まれるところで夢主に感情移入してしまって思わず涙が出てきました。とても尊敬します...。 (2020年7月12日 17時) (レス) id: cfd7089d94 (このIDを非表示/違反報告)
maron(プロフ) - zmさんとsypさんとciさんの名前で笑いすぎて鼻水吹いちゃいました()どうしてくれるんですか() (2020年6月18日 16時) (レス) id: 18f49ca017 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：彼岸桜＋α
| 作者ホームページ：http://uranai
作成日時：2020年3月28日 10時
