目つきが悪い故、勘違いされやすいのである【あんスタ】

じゅういち ページ12

｢よし、ここまで来れば大丈夫であろう。あんず殿は無事か？｣


｢なんとか……｣



辿り着いたのは空き教室。酔わないように目を瞑ってたから何階か分からないけど。



神崎先輩ってかなり足速いはずなんだけど。


今も全速で廊下とか階段とか走ってたのに、

それに着いて来れる桜木先輩凄すぎない？なんならそこまで息切れもして無い…





｢む、なぜ我の背中に隠れる？Aが話したいからここまで来たのだぞ｣


｢わぁーってますよ……｣





うわぁぁ、どうしよう最初ってなんて声かければいいんだろう。


｢我はそこに座っているからな。2人でゆるりとお話しなされよ｣




軽く先輩に背中を押されて桜木先輩の目の前へ。

…わぁ、待って頭真っ白。




デッキ吹き飛んだってホント、無理待って。






｢…えっと……鳩羽Aちゃん、だよね？｣


｢あ、はい｣


｢……｣


｢……あー…えっと……天気…いいですね…｣


｢…今日、曇りだけど｣


｢………｣





もぉぉぉお……


私が今までどれだけ人と会話してこなかったか先輩分かってない…！





確かに会いたいって、話したいって言ったのは私だけどさぁ？


ちょっと甘く見てたんだよ。


いけるだろってイキってたらこのザマなんですけど。







……とりあえず、睨んじゃわないように目だけでも隠そう。





｢…えっと、1年B組の鳩羽Aです。その…突然ごめんなさい、呼び出しなんかして。

本当はパシられて書類渡しに来ただけなんですけど、好奇心というか馬鹿というか、桜木先輩とお話してみたくて。今までちょっと話しかける勇気とか顔とか持ち合わせてなくて…｣





｢……ううん、私も話してみたかったんだ。

改めて、2年A組の桜木あんずです。私もなかなか話しかけること出来なかったから、Aちゃんの方から話す機会をくれて良かった。

……その、1個聞いてもいい？｣








…目つきのことでも聞かれるのかな。








.





.



｢…どこからそんなモチモチした可愛い声出してるの？｣


｢……喉、ですね｣




そっちか。

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