☆ ページ37
一際目立つ大きな扉をノックすれば、中から入室の許可が下りる。
失礼します、と一言だけいい扉に手をかける。その扉の向こうにいるのは紛れもない、この学校の理事長。
「…君が、一ノ瀬くんか。…一ノ瀬会長の娘という」
「初めまして理事長先生。改めて一ノ瀬 Aと申します。
本日は理事長先生にある提案を直接お話に来ました。この学校の行く末に関わるだろう大切な話です」
座ってくれ、と客用のソファに座らせられる。テーブルにはいい香りがする紅茶が用意されていた。
「…この紅茶は、理事長先生が?」
「あぁ、趣味でな」
一口だけ貰い、その味と香りを噛み締める。
「とても美味しいです」
「それは良かったよ」
まぁ、いつまでもだべっているのもアレだろうな…本題に入るか。
「…それで私が来た内容…を話す前に何故提案を直接持ちかけたのか、動機となる出来事を包み隠さずお話します」
理事長に、生徒会室で起きた出来事全てを話せば皺の寄る眉間に手を当て深くため息を着いた。
「やはり、私の見当違いだったみたいだな…。彼らを生徒会役員にすべきでは無かったのかもしれない……」
「…彼ら、と言うより星野さんを入れるべきで無かったんだと思います。彼女の存在が彼らを盲目にしてしまっている。
個人の才能はピカイチなのにそれら全てを無駄にしてしまっている…でしょう?」
コクリと頷く理事長。
「だが、今の彼らに私たちが何を言っても聞いてはくれないだろう…」
それだ。
どうして学校の最高責任者である理事長先生がこうも引いてしまっているのか。それが不思議なんだ。
「…どうして聞いてくれないと?」
「簡単な話だ、権力差で敵わないだろう」
「…理事長先生は、先生方は固定観念に囚われすぎなのでは?」
「…固定観念……?」
「はい。自然と生徒会が権力を持っていったのは分かります。でもいつ誰が生徒会が最高権力保持者だと言いました?
…そう、誰もそんな事は言ってない。噂は、一種の情報操作ですよ。誰かが言い始めたことが暗黙の了解となる…
そろそろ、その観念ぶち壊す時じゃないですか?」
目を見開く理事長。
左手で右の手のひらを軽く殴ればぱん、と軽い音が響く。
「そこで持ってきたのが、この提案です」
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素敵帽子(プロフ) - 初コメ失礼します。夢主ちゃんかっこよい。クラスの人たちいい人すぎないか?流石に好き。最&高ですわ (8月19日 4時) (レス) @page28 id: 2970d95ac0 (このIDを非表示/違反報告)
すん - 初コメ失礼します。好きでs((殴 (2022年10月3日 16時) (レス) @page36 id: 4e91283124 (このIDを非表示/違反報告)
りす - 夢主ちゃんがほんとに自分みたいでお父さんの名前もうちの父親と同じなの吹きました(( (2022年2月11日 7時) (レス) @page36 id: e4d1b8e741 (このIDを非表示/違反報告)
紺 - 夢主カッコいいな (2021年9月7日 21時) (レス) id: b406379d0b (このIDを非表示/違反報告)
サキ - すんごい遅れてるコメ失礼します。。少林寺拳法がでてくるとは、おもわなくてコメしちゃいました!夢主ちゃんと自分の口の悪さが似てるww (2021年7月28日 23時) (レス) id: 71dec2e12f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:彼岸桜+α | 作者ホームページ:http://uranai
作成日時:2020年6月21日 8時