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国木田に向き直り、礼を言う。
「有難う国木田!」
「構わん。乱歩さんが呼んでいるぞ」
「はいはーい!」
言伝を聞き、缶を持って駄菓子とラムネの袋を取って乱歩さんの元へ。手を振ってくれたので、ビニール袋を代わりに掲げる。上機嫌で笑った名探偵。
「流石は僕の助手!判ってるじゃないか!」
「はぁい、そんな事だろうと思ったんですよー」
「ねえ、君も隣に座りなよ!まだまだいっぱい話す事があるのさ!」
乱歩さんは話をするのが好きだ。彼の膝に袋を置いて、私は隣に腰掛ける。体を薙ぐ風が気持ちいい。桜を見詰めて、私から呟く様に声をかける。
「乱歩さん」
「何?」
「桜って絵にするとピンクで描かれるのに」
「実際は白いよねー。僕は夜桜のが好き」
先を読まれて答えられてしまった。いつの間にやら、社長も隣に来ている。乱歩さんと一緒に頭を撫でられた。ちょっぴり嬉しい。
「有難う御座います、社長」
「……ああ」
「社長。桜って昼と夜、どっちが好きですか?」
暫くの無言。社長と目を合わせる私達二人。少しばかり考えた後、桜に視線が渡る。私達も釣られて桜を見た。
「……何方も美しい。と言っては駄目だろうか」
その答えに、私は目を丸くして社長を見た。乱歩さんは、わかっていたとでも言いたげに桜から目を離さない。
社長が私の目を見る。何だか、社長が言うと様になるなぁ。思わず笑みが零れた。
「良いですね。それ」
「そうか」
三人で桜を見ていると、後ろから肩を叩かれた。振り返ると、与謝野先生が缶を持って笑っている。
「谷崎が面白い事になってンだが……妾と茶化しに行かないかい?」
「良いね!与謝野先生、その提案乗った!」
社長と乱歩さんに軽く頭を下げ、与謝野先生の後を追う。
辿り着けば、潤君がナオミちゃんに色々され、押し倒されていた。賢治君はそれを見てほのぼのと笑っていた。
「お兄様ぁ……私、どうやら桜に当てられてしまったみたいで……」
「な、ナオミ?ここ外だからね?わかってるよね?」
与謝野先生と私はその傍で酒とツマミを片手に、余興か何かのように野次を飛ばす。
「よぉし!ナオミちゃん!やれやれーっ!」
「若者は恥を晒してなんぼだよ!」
「そんな事言わずに助けてください!」
「何だか楽しそうです!」
声も虚しく、私達は野次を飛ばすだけ飛ばす。賢治君も乗ってきた。エスカレートするナオミちゃん。そろそろヤバい所で、春野さんが賢治君の目を覆った。
どんちゃん騒ぎはまだまだ続く。
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いちご(プロフ) - ミラから来たぞおおおぉ! に、しても評価凄いですね!Σ(゚ロ゚;) (2020年6月21日 14時) (レス) id: 3cbabf2902 (このIDを非表示/違反報告)
モフ子 - 道化さん» 全然OKです。後見させてもらいました、兎に角好き(語彙力Maxです。 (2019年8月4日 17時) (レス) id: 7dc88695a1 (このIDを非表示/違反報告)
道化(プロフ) - 書かせて頂きました!お仕事疲れとの事なので、ちょっと絡めたお話を。ゴーゴリ「頑張った子には、ご褒美がいるよね!私は分かっているのさ!」 (2019年8月2日 18時) (レス) id: 915e79c273 (このIDを非表示/違反報告)
道化(プロフ) - モフ子さん» 了解しました!リクエスト内容は、シリーズ最新作の「恋は下心」の方に投稿させて頂きますが、大丈夫でしょうか? (2019年8月2日 18時) (レス) id: 915e79c273 (このIDを非表示/違反報告)
モフ子 - リクエストしても宜しいでしょうか?天人五衰のゴーゴリ君っていいですか?シチュエーションは何でも構わないのでお願いします!仕事帰りに癒されたい!どうか私の我儘を聞いて下され (2019年8月2日 11時) (レス) id: 7dc88695a1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:jazz | 作成日時:2019年4月26日 19時