モヒート『与謝野晶子』※櫻子さんリクエスト ページ24
とある安価な居酒屋。そこで二人の男女が酒を飲みながら話を混じえていた。
「はぁ……太宰さんってば本当に狡い人です……」
「あんな馬鹿の何処がいいのさ。教えて欲しいくらいだね」
少女の様な見た目の女は、ミントの多量なカクテルグラスを手持ち無沙汰に撫でながら、うっとりと話し出す。女医はボトルを傍に携え、グラスに炭酸と割りながら退屈そうに話を聞いていた。
「知識が豊富で、頭が回って、優しい人です……そりゃあ、確かに変な人で女癖悪そうですけど……」
「幸せにゃあ、なれないだろうね」
「其処迄云います！？」
撫でていた手はグラスを握り、跳ねるように少女の様な女(以下、少女と呼ぶが彼女は成人だ)は肩を揺らす。
「あァ。云うね」
女医には何も響いて無いようだが。その返事に、少女は肩を落として溜息を吐いた。その表情は、本当に恋する乙女と言ったようだ。
「酷いですぅ……私は本気なのにぃ……」
「やめときな、妾は言ったよ」
「ぅぅぅ……」
嘘泣き上等。少女は安い演技で泣き真似をしてみせるが、女医にはそれがわかっている。何事も無いかのように酒を煽っていた。
「もっと話を展開させてくれません？相談に乗ってくれるんじゃ……」
「無理だね。国木田やら敦なら勝算はあるが、太宰じゃどうしようもない」
女医の言葉に、客観的に見ればそうなのかもしれない、と思う少女。チビチビと自分のグラスに口をつける。ライムの苦さと爽やかさが口に広がる。
「アンタ、それ好きだねぇ」
「だって、太宰さんみたいで……爽やかなのに、触れたら苦い……」
「何処まで惚れ込んでるんだい。馬鹿だね」
馬鹿で結構ですぅ……等と少女は呟き、女医は手遅れだと言わんばかりに溜息を吐いた。女医が酒を煽ったその瞬間、机横に人影。少女は肩を跳ねさせる。
「だ、だじゃいしゃん！？」
「やぁ、奇遇だね」
一言、挨拶をするや否や、男は少女に断り隣を陣取る。女医は不機嫌を現し眉根に皺を寄せる。少女は酒の酔い以上に頬を紅潮させた。
「おや、顔が赤いよAちゃん？酔ってるんじゃないのかい？」
「い、いえ！大丈夫です！し、失礼しますね！」
脱兎の如く店を出た少女。机には、少女自身の分のお勘定。青年は溜息を一つ吐いた。
「あーあ……また言いそびれてしまったよ」
「アンタも意地悪してないで、さっさと告白するンだね」
男は少女の飲みかけであるグラスに口をつけた。炭酸とライムは、もしかしたら二人の青春なのかもしれない。
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いちご(プロフ) - ミラから来たぞおおおぉ！ に、しても評価凄いですね！Σ(ﾟﾛﾟ;) (2020年6月21日 14時) (
レス) id: 3cbabf2902 (このIDを非表示/違反報告)
モフ子 - 道化さん» 全然OKです。後見させてもらいました、兎に角好き(語彙力Maxです。 (2019年8月4日 17時) (レス) id: 7dc88695a1 (このIDを非表示/違反報告)
道化(プロフ) - 書かせて頂きました！お仕事疲れとの事なので、ちょっと絡めたお話を。ゴーゴリ「頑張った子には、ご褒美がいるよね！私は分かっているのさ！」 (2019年8月2日 18時) (レス) id: 915e79c273 (このIDを非表示/違反報告)
道化(プロフ) - モフ子さん» 了解しました！リクエスト内容は、シリーズ最新作の「恋は下心」の方に投稿させて頂きますが、大丈夫でしょうか？ (2019年8月2日 18時) (レス) id: 915e79c273 (このIDを非表示/違反報告)
モフ子 - リクエストしても宜しいでしょうか？天人五衰のゴーゴリ君っていいですか？シチュエーションは何でも構わないのでお願いします！仕事帰りに癒されたい！どうか私の我儘を聞いて下され (2019年8月2日 11時) (レス) id: 7dc88695a1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：jazz | 作成日時：2019年4月26日 19時
