独白【散文】 (ページ9)

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呪いの夢ページ9

夢を見た

呪いにかかる夢を見た

呪いを解くには、どこか遠い場所で呪いの根源を燃やすのだそうで

夢の中の私はこう言った。

｢有給残ってないから、呪われたままでいいよ｣

私は相当、社会に毒されているらしい

場面は変わる

誰かに命じられ、私は決められた手順で誰かを地下通路に案内していた

｢私の歩いた通りについてきて。呪いに掛かりたいならね｣

案内している人物は、わざと呪いに掛かりたい、酔狂な青年らしかった

私は導かれるままに、光に照らされた道だけを進む

青年が道を間違えたら、指摘していた

青年は、律儀に私の歩いた通りにやり直す

呪いの主と出会った

私は顔を俯けて、告げる

｢準備が出来ました｣

主は告げた。

｢奴には私と同じく、耳を異型にしてやろう。左耳だ｣

青年は、そうなる前に私を攫った

そこで、目が覚めた。

起きた時間はアラームの五分前

何の暗示なのかはわからない

起きて携帯を見る

恋人ではない男との通話画面

通話を切り、充電を見る

45%

少し充電してやり、二度寝を決め込む

その夢は、ずっと繰り返した

いつまでも頭に残る夢は、少し不思議な感覚がした

少しリアルで、不思議と怖くて

最後のアラームを聞いてから、朝の支度を始めた

……私を現状から攫ってくれるような、そんな人物は……今の私に居るのだろうか？

それとも、私はこれから案内人にでもなるのか？

答えは出ない。けれども。

──不思議と、その夢は私の脳にこびり付いて離れなかった。