オッパ (ページ1)

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春の陽気が感じられる風を肌で感じて

まだ着慣れてないスーツをまるで今まで着ていたかのように身に纏い、私は入社式へ向かう。

この春から私は社会人になった。
1人で生きていける年齢に漸くなった。
そして、やっと彼と同じ土台に立つことができた。

『新入社員の皆さん、ようこそ○○商社へ。君たちは＿＿＿』

社長の子守唄のような挨拶が私の睡眠欲を引き出さない位、私は胸を躍らせていた。

なにせこの会社には私が幼少期からずっと片思いしているソクジンオッパが勤めているからだ。

生まれた時から側にいるのが当たり前であることと同時に私は生まれてからこの人にしか［好き］という感情を抱いたことがない。

＿＿＿＿＿＿

このソクジンオッパ、もといキムソクジンは
顔も良し、

スタイル良し、

性格良し、

頭良し。

非の打ち所がない "イケメン" という言葉を具現化したような男で、きっと私以外にも惚れた人はごまんといるだろう。

けれど、なぜかソクジンオッパは私といる時いつも隣で手を繋いで笑いあって帰る彼女がいなかった。

いつしか、「ねえ、なんでオッパ彼女作らないの？」
と聞いたことがある。

その返しはいつも決まって、「オッパには可愛い妹がいるからだよ」
と私に微笑みかけ頭を撫でてくれてた。

これで惚れるなという方がおかしい。

私はそうして20年以上育ってきたし生活してきた。

だから、私はジンオッパ以外には恋をしたことがない。

初恋を拗らせた、つまりはそういうことだ。