闇の中の白【五条悟】

24.どれほどの ページ25

重い沈黙。



｢あははは、夏油先輩、怖い冗談やめてくださいよー｣



それをかき消した私のわざとらしい笑い声。



夏油先輩の瞳は本気だと、言っていた。


だからこそ私は、

それを認めては行けないと思った。



以前話した時



『君の術式は、人に対しては無敵だよね』



そう言っていた夏油先輩。



だから、先輩は私の力が欲しいんだ。



一体、いつからこんな風に、

夏油先輩は1人で苦しんで、悩んでいた……？



どれだけ、考えた末に、

この最悪の構想をするに至ったのだろう？



あの、五条先輩の悪友で、親友で、

最強の夏油先輩が……



どれだけ辛い思いを、し続けてきたのだろう？



｢…そうか。分かった。
変なことを言ってすまなかったね

今僕が言ったことは忘れてくれ

……少し、疲れているみたいだ。｣


｢夏油先輩！｣



部屋を出て離れていく背中に声をかける



｢私……私は、

夏油先輩のこと……尊敬しています。


こんな、私みたいな、人間に何を言われても、
響かないかもしれないですけど…

1人で、悩まないでください。
私も考えます。

1人で……抱え込まないで。｣



感情が溢れて、涙が頬をつたい落ちた感覚。




｢大丈夫だよ。ありがとう｣



また、あの時見たような張り付けたような笑顔

私の声は、届いていないみたいだった。





.
.
.




数日後、

共用のリビングで五条先輩に絡まれていたら




｢もう寝る時間だぞ。私も明日は任務で朝が早いんだ。静かにしてくれ｣




夏油先輩に怒られる五条先輩。



ざまあ。




ニヤニヤしていたら
私と先輩を睨んで舌打ちをしてから部屋に戻った五条先輩



｢ありがとうございました。夏油先輩｣



お礼をすれば
夏油先輩は優しく、笑みを浮かべる



｢悟の面倒を見てくれてありがとうA。
これからも、悟のことを頼んだよ｣




それは、張り付けたようなのじゃなくて、

本当に、優しい笑顔だった



ひょっとして、想いが届いた……？



｢はい。任せてください！｣



嬉しくて満面の笑みでそう返した、5日後＿＿＿＿




最近、夏油先輩の姿を見ないなぁと

考えていた頃だった。





｢はぁ？｣




廊下に響く声



五条先輩の声だった。



五条先輩が本当に怒っているのを始めてみたから

気になってこっそり耳をそばだてる。




そして、

私は信じられないことを耳にすることになる。





＿＿夏油先輩が任務先の人間と両親を手にかけ呪詛師になった、と。

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