一緒に【カンタ】 (ページ1)

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「あの…佐藤先輩！」

始まりはここから。

「えっと、君は…？」

「い、1年のAです！」

「どうしたの？」

「すっごい唐突なんですけど…。
富永先輩って、どういうものが好みとかありますか？！」

「…え？富永？」

「えっいや、その…富永先輩がもうすぐお誕生日なのでプレゼントをあげたいなあって…思いまして…」

顔を真っ赤にして、語尾がだんだん小さくなってるんだけど、一生懸命話している姿が印象的で。

「富永のこと、好きなんだ？」

「えっ！！あ、はい…。」

気付けばそんな事を口走っていた。
こんなこと聞かれている時点で、確定だっただろうに。

「うーん…そうだな。
富永が好きのは、橘だよ。」

「…えっ？
橘って…橘先輩ですか？」

「そう。」

最低な言葉だった。

橘というのは、俺らと同じ2年の女子で。
富永が好意を抱いているのも、本当の事だった。

だからといって、何故この様な言動をしたのかはこの時にはわからなくて。

「そうですよね…。富永先輩にも、好きな人、いますよね…。」

彼女はそう言って目尻いっぱいに涙を溜め、

「突然すみません、有難うございましたっ！」

そう言って小走りで校門を潜っていった。

今思えば、この時から彼女のことが好きだったんだ。