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Aは黙りこくる。
きっと、心の中で葛藤しているのだろう。
少し時間が経って、Aはまた軽く胸板を手で押した。
「わかったから、大人しくするから離れて」
「本当に?」
「本当に」
Aは隼から離れると猫のように身震いをした。
本当に、捨てたれた猫みたい。
そんなAに、そっと語りかける。
「俺は、一度手を差し伸べたら絶対捨てたりしない」
「嘘だ。帰る場所がない私なんか、どうせまた捨てられる」
「そんなことない。俺は、手を差し伸べた以上簡単に見捨てたりしない」
「簡単にそんなこと言わないで。そういうの、無責任だから」
Aはこちらを振り返って、悲しみに満ちた目でこちらを睨んだ。
今にも零れ落ちそうだった涙が、ついにゆっくりと頬を伝っていた。
「…なら、その責任を俺はちゃんと果たしたい」
誰もが見て見ぬ振りをしていた。
そんなの、あんまりだと思った。自分は、あんな風になりたくないから。
「君に帰る場所がないなら、ここに帰って来ればいいから」
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秋(シュウ)(プロフ) - 青葉さん» コメントありがとうございます!その作品とても好きな作品で、それを読んだ後に作り始めたので影響受けちゃってるかもです…!自然だと言ってもらえて嬉しいです! (2018年8月14日 18時) (レス) id: 1fb44807fd (このIDを非表示/違反報告)
青葉(プロフ) - ちょっと『また、アシタ』ぽくて雰囲気すごく好きです。隼くんのキャラに違和感がなくてすごく自然な作品だなって感じました。更新楽しみにしてますね! (2018年8月13日 23時) (レス) id: fccf92ae33 (このIDを非表示/違反報告)
秋(シュウ)(プロフ) - くれおんさん» コメントありがとうございます!嬉しいです! (2018年8月13日 11時) (レス) id: 1fb44807fd (このIDを非表示/違反報告)
くれおん(プロフ) - めっっっっっちゃおもしろいです! (2018年8月13日 0時) (レス) id: 99e78605ea (このIDを非表示/違反報告)
秋(シュウ)(プロフ) - 蛍さん» ありがとうございます!そう言ってもらえて嬉しいです。更新頑張ります! (2018年8月12日 17時) (レス) id: 1fb44807fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:秋(シュウ) | 作成日時:2018年8月7日 21時