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少し時間が経って、寝室の扉が開いた。
「寝てなくて平気?」
そう聞いたけど、もちろん返事はない。
「帰る」
その子はこちらを見て一言そういった。
「え、帰る?まって、もうこんな時間だよ?」
隼の制止も聞かず、女の子はカバンを手に取った。
「ちょちょちょ!せめて誰かお迎えに来てもらいなよ」
「いい、1人で帰れる。それに迎えに来てくれるような人もいないから」
隼は思わず腕を掴んだ。
流石にこんな夜遅くに1人で帰らせるのは気がひけた。
「ダメ。危ない」
「離して」
「離さない」
女の子は鋭い視線をこちらに向けて、握られた手を振り払おうと身をよじらせた。
触られること自体に嫌悪感を示しているようで、まさしくノラ猫のようだった。
「君が全然言うこと聞かないなら俺も手を離すつもりはないや」
「そもそも私がわざわざあんたの言うこと聞く義務ないから」
具合が悪くても気の強さは健在らしい。
隼はぐいっと腕を引っ張って、自分が扉の前に立ちふさがる。
「危ない目には合わせれないから」
「なんで」
「なんで?だって、君が倒れてる時俺以外誰も声かけてなかったんだよ?」
あの時のことを思い出すと心の中が苛立ちでいっぱいになる。
「なんで、」
Aは再びこちらを見た。
警戒の色はなくなり、何もかも見透かしているようなまっすぐな目だった。
「なんで助けてくれたの」
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秋(シュウ)(プロフ) - 青葉さん» コメントありがとうございます!その作品とても好きな作品で、それを読んだ後に作り始めたので影響受けちゃってるかもです…!自然だと言ってもらえて嬉しいです! (2018年8月14日 18時) (レス) id: 1fb44807fd (このIDを非表示/違反報告)
青葉(プロフ) - ちょっと『また、アシタ』ぽくて雰囲気すごく好きです。隼くんのキャラに違和感がなくてすごく自然な作品だなって感じました。更新楽しみにしてますね! (2018年8月13日 23時) (レス) id: fccf92ae33 (このIDを非表示/違反報告)
秋(シュウ)(プロフ) - くれおんさん» コメントありがとうございます!嬉しいです! (2018年8月13日 11時) (レス) id: 1fb44807fd (このIDを非表示/違反報告)
くれおん(プロフ) - めっっっっっちゃおもしろいです! (2018年8月13日 0時) (レス) id: 99e78605ea (このIDを非表示/違反報告)
秋(シュウ)(プロフ) - 蛍さん» ありがとうございます!そう言ってもらえて嬉しいです。更新頑張ります! (2018年8月12日 17時) (レス) id: 1fb44807fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:秋(シュウ) | 作成日時:2018年8月7日 21時