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龍友は亡くなった友達のことを思い出す。

その友達が目の前で息絶え絶えの中、何かをつぶやいていたことは今でも鮮明に覚えている。




「亡くなったその人のこと、本当に忘れちゃってもいいんですか?もう、思い出せなくなってもいいんですか?」


「…」





その友達はあまり人付き合いがうまい人ではなかった。

ほかの同級生はきっとその友達を覚えてないだろう。








「忘れたく、ない。でも、思い出すと辛い」





Aも龍友の背中に腕を回した。





「故人は忘れられると本当に消えちゃいます」

「…」

「そのお友達はきっと嬉しいはずです。

数十年経ってもこうして思いだしてもらえるのはなかなかないですから」








その言葉で今までの辛さが報われた気がする。









「もう、大丈夫ですよ。無理に忘れなくていいですよ」








誰かに、ずっとそう言って欲しかった。

大丈夫だよって。無理に忘れなくていいんだよって。









龍友はAにしがみついたまま、静かに泣き続けた。







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作者名:秋(シュウ) | 作成日時:2018年6月29日 21時

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